2019年12月14日23時16分

なにゆえキリストの道なのか(225)聖書のもとの言語は何? 正木弥

コラムニスト : 正木弥

聖書のもとの言語は何? 誰でもは読めないのではないか。

聖書は、旧約聖書がヘブル語がほとんど、ほんの一部がアラム語で書かれています。ヘブル語はいわゆるユダヤ人の言葉であって、旧約時代のすべてを通じてあまり大きな変化がありません。

しかし、ユダヤ民族がバビロン捕囚になった頃、捕囚先の新バビロニア帝国と、ついで覇権をにぎったペルシャ帝国では使い勝手のいいアラム語が普及しました。アラム語とヘブル語は同じ北西セム語に属し、近い言語であって、捕囚時代前後の書ダニエル書の約6章、エズラ書の約3章で使用されています(エレミヤ書の1節のみも)。

その後、アレキサンダー大王の征服によるヘレニズム文化地域(後のローマ帝国の東半分域)では、コイネー・ギリシャ語(共通ギリシャ語)が国際共通語になりました。そこで新約聖書はすべてコイネー・ギリシャ語で書かれました。ただし、ユダヤ、ガリラヤなどの地域の一般民衆レベルでは民衆アラム語が多用された関係で、新約聖書の会話の部分を中心に、時に単語としてそれが交じって用いられています。

このような新約聖書、旧約聖書から多くの古代語訳が翻訳されていきました。コプト語、エチオピア語、シリア語、アルメニア語、ゴート語、ラテン語、アラビヤ語などです。その後、宗教改革時代前後からヨーロッパ各国語訳に翻訳され、徐々に世界各地の言語に翻訳され、そして、印刷化も進行したのです。現在、地球上の全人口の96~99パーセントが聖書を自国語で読むことができるようになっています。このように圧倒的に普及している経典も書籍も他にはありません。これは人類の誰でもがキリストの救いにあずかれるよう、神ご自身が聖書の普及を進めておられると見ることができます。

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正木弥

正木弥

(まさき・や)

1943年生まれ。香川県高松市出身。京都大学卒。17歳で信仰、40歳で召命を受け、48歳で公務員を辞め、単立恵みの森キリスト教会牧師となる。現在、アイオーンキリスト教会を開拓中。著書に『ザグロスの高原を行く』『創造論と進化論 〜覚え書〜 古い地球説から』『仏教に魂を託せるか』『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書』(ビブリア書房)など。

【正木弥著書】
『仏教に魂を託せるか 〜その全体像から見た問題点〜 改訂版』
『ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書』
『ザグロスの高原を行く イザヤによるクル王の遺産』(イーグレープ)
『創造論と進化論 〜 覚え書 〜 古い地球説から』
『なにゆえキリストの道なのか』

【正木弥動画】
おとなのための創作紙芝居『アリエルさんから見せられたこと』特設ページ