2019年7月11日12時21分

東方の憧れの国 穂森幸一(135)

コラムニスト : 穂森幸一

日本はヨーロッパ大陸から見ると、東の果てにある島国です。唯一神信仰が届かなかった国とかキリスト教宣教の未開発の地という受け止め方をしている人もいるようです。しかし、古代よりユダヤ教、キリスト教、儒教、仏教、道教など世界の宗教が日本に到達しており、日本文化に大きな影響を及ぼしています。これより後の時代は、日本に到達した宗教が開花し、日本人が世界のリーダーとして使命を果たすときだと思います。

実は、ヨーロッパ大陸やアジア大陸の人々は古来、東方の島国に憧れを抱いていたといわれます。マルコポーロは黄金の国、ジパングに憧れ、中国まで旅をし、「東方見聞録」を著します。しかし、憧れの国に足を踏み入れることはできませんでした。

秦の始皇帝は「不老不死の薬」を求めて日本に徐福を派遣します。この徐福はユダヤ系の人だったといわれます。この徐福が求めていたのは聖書に示されている「永遠のいのち」だったのではないかと思います。マタイによる福音書19章16節で富める青年が、主イエスに「永遠のいのちはどうしたら手に入れることができるでしょうか」と問うています。永遠のいのちはユダヤ人の最終的な願望だったのです。徐福が憧れの東方の国に行けば入手できるかもしれないと思うのは当然のことではないかと思います。

話は変わりますが、イエス様はどういう風貌をしていらっしゃったのでしょうか。ハリウッド映画に登場するイエス様は金髪のハンサムな白人です。私は当時の一般的なユダヤ人と同じような風貌をしておられたと思います。ユダヤ人はノアの息子セムの家系です。白人はヤペテの家系ですのでセム系とは異なります。アブラハムもダビデもセム系ですが、白人よりも日本人に近い風貌です。ですから古代ユダヤ人が日本にやってきても違和感はなかったのではないかと思います。

昔、キリスト教の十字軍とイスラム教の勢力の狭間で苦しめられたトルコ系の白人の国がありました。このハザール王国の王様はキリスト教にもイスラム教にもくみしないユダヤ教という選択をし、全国民をユダヤ教に改宗させます。この選択により、しばらくは平和が保たれますが、やがてイスラム教の勢力に押され、国家が崩壊していきます。ハザール人は東ヨーロッパと中央アジアに散らされ、流浪のユダヤ人になり、各地で混血が繰り返されます。また、このユダヤ人と失われたイスラエルの十部族の子孫とも合流していきます。こうして生まれたのがアシュケナジー系ユダヤ人です。

セム系の流れを色濃く残すのがスファラデティー系ユダヤ人ですが、ユダヤ人全体の1割ほどだといわれます。現在のイスラエルでは少数派であり、あまり目立たない存在ですが、本来のユダヤ人に近い風貌だと思います。

今日のDNAの研究は目覚ましいものがあり、昔のミイラからDNAが採取され、詳しい情報が分析できるようになっています。また、骨があれば骨格から人相の再現も難しくないといわれます。アブラハムの棺はヘブロンの巨大な洞窟ドームの中に保存されています。その中にアブラハムのミイラがあるのは間違いないそうです。もし将来、医学的研究のために棺を開けることが許され、DNAが採取されるようなことがあれば、意外な事実が判明するかもしれません。これは私の考えですが、アブラハムがシュメール人であり、その風貌は日本人に近いということが証明されるかもしれないと思います。

先日、日本の安部総理大臣がイランを訪問し、非核化の提言をしました。日本ではこの外交はあまり評価されず、マスコミでは外交の失敗とか無駄とか評するところもあります。しかし、イラン国内では日本の首相がやってきたというだけで大きなインパクトがあるといわれています。中東の中には米国離れを起こしている所が少なくありませんが、日本への期待は高まっているのです。トルコも米国に対する離反が見られますが、日本の役割は高まっているのです。

宗教の世界でも同じことが言えるのではないかと思います。東方の国のリーダーが立ち上がり、和の思想を語っていかなければならないと思います。異なる宗教のリーダーが共に立ち上がり、協力して平和を訴えていく宗教者懇和会は、日本に生まれた発想です。神道、仏教、キリスト教、イスラム教のリーダーが平和を訴えながら、エルサレムを行進するのを夢想しています。決して夢物語に終わらせるのではなく実現させていきたいと願っています。

日本の社会では、老後破綻が話題となり、年金だけでは暮らせないから2千万円持っていないといけないと試算する役人がいました。ある専門家は2千万では足りない5千万必要だと言います。とてつもなく老後は厳しい環境であり、お金がない人は生きていけない状況かもしれません。しかし、これを打破する方法があります。古代から繰り返されてきたことですが、皆で少しずつ分かち合えばいいのです。この音頭をとってきたのが宗教家なのです。混迷した社会であるからこそ、宗教家が率先して立ち上がり、リーダーシップを発揮しなければなりません。

見よ。わたしは新しい事をする。今、もうそれが起ころうとしている。あなたがたは、それを知らないのか。確かに、わたしは荒野に道を、荒野に川を設ける。(イザヤ書43:19)

※古代日本とユダヤ人との関係に関する本コラムの内容は、あくまでも筆者の個人的な見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。

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穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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