2016年9月1日11時47分

温故知神—福音は東方世界へ(54)景教小事典⑨ 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

唐代景教の聖書地名などの漢訳

景教徒たちが漢訳した聖書の地名などの一部を下記に記しました。

エルサレム ➡ 烏梨師斂城(世尊布施論に1回、イエス・メシア経に1回)
ユダヤ ➡ 伊大城(世尊布施論に1回)
ナザレ ➡ 那薩羅城(宣元本経に1回、宣元至本経に1回)
ヨルダン ➡ 約旦、述難(イエス・メシア経に2回)
ローマ帝国領のユダヤ ➡ 大秦国(大秦景教流行中国碑に4回、宣元本経に1回)
コンスタンチノープル ➡ 拂林(世尊布施論に5回、イエス・メシア経に1回、一神論に1回)
ペルシア ➡ 波斯(大秦景教流行中国碑に1回、世尊布施論に3回、一神論に2回)

宣元本経と宣元至本経に「大秦国那薩羅城(ナザレ)」とあります。「大秦国」とはローマ帝国のことを指しますが、「ローマ帝国領のユダヤ国」の意味があります。

「大秦景教流行中国碑」にも「大秦」が付けられています。景教とは大きな光の教えで、世の光なるイエスの教えと考えますなら、「ユダヤからイエスの教えを中国に伝えた碑」となります。景教の派遣国はペルシアですが、教えの発祥はユダヤですから、そのように考えていたのでしょう。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
『景教のたどった道―東周りのキリスト教』(キリスト新聞社、2005年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。