2016年3月20日23時49分

全ては人間性で決まる 安食弘幸(39)

コラムニスト : 安食弘幸

「あなたの行く所どこにおいても、主を認めよ。そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる」(箴言3:6)

『企業のすべては人に始まる』、これは世界的に有名なサービス・マスター社のCEOウィリアムス・ポラードさんの著書の題名です。

ポラードさんは、その中で成功する会社の条件を三つ挙げています。

(1)人間の価値を認めている

ある年のクリスマスに、ポラードさんがクリスマスプレゼントを買いに行きました。すると、素敵なクリスマスプレートを見つけました。値段も21ドル95セント(約2400円)という手頃なものでした。

しかし、買ってから分かったことは、このクリスマスプレートはもうすでに製造中止となっており、型も廃版になっていたのです。つまり、このプレートは希少価値のあるものとなっていました。それでオークションにかけたところ、なんと千ドル(約11万円)で落札されたのです。同じものが、たくさんあれば二束三文ですが、一つしかないとなれば途方もない値段が付くのです。

さて、あなたの値段は幾らくらいだと思いますか。「私なんて大して価値がない」と自己卑下している人はよく聞いてください。

神はあなたに語っています。「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ43:4)

あなたは唯一、ユニークな存在であり、歴史始まって以来の人間です。あなたと同じ人はあなたの前にも後にもいません。まさに希少価値です。

このような人間観を持つとき、初めて人を大切にし、自分も大切にできるのです。

(2)神に栄光を帰する

私たちは成功や繁栄の真ん中でそれらを与えてくださった神を忘れ、高慢になり、うぬぼれやすいものです。

神は警告します。「人の心の高慢は破滅に先立ち、謙遜は栄誉に先立つ」(箴言18:12)

高慢から自分の心を守る唯一の方法は、神を愛し、神を敬い、神に感謝することで、謙遜な心を自分の中にじっくり育てることです。

ユダヤ人たちは、頭の上に「キッパ」と呼ばれる小さな帽子を載せます。これは人間にはいつも人間以上の存在、権威ある存在がいるのだというのを忘れないように、そしていつも謙遜であることを忘れないようにするためです。私たちもこの真理を頭の上にではなく、頭の中にしっかり刻んでおきたいものです。

(3)従業員の人間的成長を促進する

労働に携わる人が一日の内、一番長い時間を過ごすのは会社です。ですから経営者は、従業員を単なる労働力と見るのではなく、成長すべき存在と見なし、成長を促進するプログラムを確立すべきです。業績をあげている会社は、例外なく従業員の成長のためにさまざまな工夫をしています。

従業員7千人、4千台のトラックを所有する全米トップ10に入るカベナンス・トランスポート社は、その全てのトラックに、それを読んだ人を幸せにし、勇気を与え、希望を与えるようなメッセージを書いて走らせています。そしてそれを読んだ多くの人々から感謝の言葉が寄せられるのです。それによって従業員は自分たちが社会に貢献していることを知り、誇りを持って働くのです。

また、タイソンフード社や、インター・ステッド・バッテリー社などでは、会社の中にチャペルを設け、定期的にチャプレンの話を聞くことで従業員の成長を促進しているのです。

会社は従業員と一緒に成長していくものなのです。

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安食弘幸

安食弘幸

(あんじき・ひろゆき)

峰町キリスト教会牧師。1951年、島根県出雲市に生まれる。関西学院大学社会学部卒。大学時代は硬式野球、関西六大学リーグのスラッガーとして活躍。関西聖書学院卒。セント・チャールズ大卒(哲学博士)。JTJ宣教神学校講師、国内外の教会や一般企業、ミッションスクール、病院、福祉施設などで講演活動を行っている。著書に『キリストを宣べ伝える―コリント人への手紙第二』『心の井戸を深く掘れ』『道徳力―モーセの十戒に学ぶ―』『ルツの選択、エステルの決断』など多数。

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