
米国第2のプロテスタント教団である合同メソジスト教会(UMC)の大学評議会は、6月17、18の両日に開いた会合で、教団の教職候補者を養成できる神学校の認可リストから、アズベリー神学校(ケンタッキー州)とノースイースタン神学校(ニューヨーク州)の2校を除外することを決めた。これとは別に、パーマー神学校(ペンシルベニア州)とルーサー神学校(ミネソタ州)の2校は自らリストからの削除を申し出ており、計4校が認可外となることになった。
中でも注目を集めているのが、米国のウェスレアン系最大の神学校であるアズベリー神学校。同校は1923年創立の超教派の福音主義神学校で、46年に前身教団の一つであるメソジスト教会から認可されて以来、UMCの教職者を数多く輩出してきた。今回の決定は、80年に及ぶ両者の関係の大きな転換点となる。
背景には、同性愛を巡るUMCと同校の立場の違いがある。UMCは2024年の総会で、教憲内の「社会原則」を改訂し、同性愛を「キリスト教の教義と相いれない」とした72年以来の文言を削除するなどした(関連記事:合同メソジスト教会、同性愛容認へ大きな方向転換 保守派の大量離脱で)。
UMCの高等教育・教職総局(GBHEM)は声明(英語)で、今回の除外は4年ごとの定期審査の結果に基づくものだと説明。その上で、「アズベリー神学校が公表している理念文書は、UMCの社会原則と両立しない。加えて同校には、必修とされるUMCの歴史・教理・教会政治を継続的に教える専任のUMC教員がいない」と理由を語った。
これに対しアズベリー神学校のデービッド・ワトソン学長は声明(英語)で、「(UMCの大学)評議会の統治上の役割を理解し、その決定を受け止めます。しかし、この結果は双方の合意による解決ではなく、UMC側の判断によるものです」と表明。「評議会の要件、特に2024年に改訂されたUMCの社会原則の『人間の性』と『結婚』に関する部分は、本校の理念およびキリスト教信仰の歴史的証しと一致しません」と述べ、結婚は「聖書に示された通り、一人の男性と一人の女性による生涯にわたる唯一の排他的な結び合わせ」だと改めて確認した。
今回の決定は、同校の教育機関としての資格には影響せず、同校は今後も、UMCから分離した保守派によるグローバル・メソジスト教会(GMC)など75以上の教団から来ている学生に対し、神学教育を続ける。
一方、フリーメソジスト系のノースイースタン神学校の除外理由は、UMC教員の不在と、授業が主にオンラインで提供され、大学評議会の指針が求める対面での人格形成的な教育経験を欠くことだった。同校のジョセフ・シコラ神学部長は声明(英語)で、「異なる結果を望んでいましたが、(大学評議会の)神学教育委員会が公正で透明性のあるプロセスで審査を行い、決定の理由を伝えてくれたことに感謝します」と述べ、将来的な認可回復への意欲も示した。
アズベリー神学校はこれまで、複数の監督を含むUMCの教職者を数多く送り出してきた。UMCの公式メディア「UMニュース」(英語)が2017年の情報として伝えたところによると、UMCで按手(あんしゅ)を受けた執事・長老418人のうち44人が同校出身で、57人を輩出したデューク大学神学部に次ぐ多さだった。
アズベリー神学校が位置するUMCのケンタッキー年会(教区に相当)を率いるデービッド・グレーブス監督は、「年会の多くの人々がこの知らせを落胆と悲しみをもって受け止めるでしょう。私もその思いを共有します」とコメント。「ケンタッキー州の多くの教職者や信徒にとって、アズベリー神学校は単なる学校以上の存在です。そこは、信仰を深め、召命を明確にし、友情を育み、彼らの人生を変えた場所なのです」と述べた。
現在、アズベリー神学校の在学生の約9%がUMC所属で、UMC関係の存命の卒業生は4千人を超える。在学生と今秋までに課程を開始するUMC所属の学生は、そのまま課程を修了してUMCでの按手を目指すことができる。一方、それ以降は、教団が基金を通じて資金提供している13の公認神学校か、認可リストに残る25の教団外の認可神学校で学ぶ必要がある。
アズベリー神学校に隣接する姉妹校のアズベリー大学では2023年2月、チャペルでの礼拝が自然発生的に約2週間にわたって続き、「リバイバル」(大学側は「アウトポアリング(聖霊の傾注)」と表現)として世界的な注目を集めた。この動きは神学校側にも広がり、世界各地から多くの人々が訪れた(関連記事:「聖霊の純粋な働き」 米アズベリー大学でリバイバル チャペルアワーから自然発生)。