
聖公会の保守派グループ「世界聖公会未来会議」(GAFCON)は5日、特定の主教を「同位者中の首位者」として選出せず、代わりに「世界聖公会評議会」を組織することを決定した。
GAFCONは昨年10月、聖公会の近年のリベラルな傾向に反発し、カンタベリー大主教の首位性などを否定するコミュニケ(声明)を発表。世界各国・地域の聖公会で構成される「アングリカン・コミュニオン」(全世界聖公会)とは別に、新たに「グローバル・アングリカン・コミュニオン」を設立することを宣言していた(関連記事:聖公会保守派、「グローバル・アングリカン・コミュニオン」設立を宣言 決定的な分裂に)。
ナイジェリアの首都アブジャで3日から6日にかけて開催された会議では当初、グローバル・アングリカン・コミュニオンを導く、新たな首位者の主教が発表されることが予想されていた。しかし、実際に発表されたのは、2008年の創設以来、GAFCONをけん引してきた首座主教会議を解散し、世界聖公会評議会を組織することだった。
世界聖公会評議会の初代議長には、ローラン・ムバンダ大主教(ルワンダ聖公会主座主教)が全会一致で選出された。また、副議長にはミゲル・ウショア大主教(ブラジル聖公会〔IAB〕首座主教)、総主事にはポール・ドニソン主教(GAFCON総主事、北米聖公会)が選ばれた。任期はいずれも、2028年にアテネで開催予定の次回会議まで。
ドニソン主教は発表(英語)で、世界聖公会評議会について、「主座主教」「顧問」「保証役」で構成されると説明。これらは主教、聖職(司祭・執事)、信徒から選出され、それぞれが完全な投票権を持つという。特定の主教を首位者として選ぶのではなく、評議会制を採択したことについては次のように述べた。
「ほとんどの組織や個人が権力や権威を保持することに執着する世界において、GAFCONの首座主教会議は、世界聖公会評議会を創設することによって、グローバル・アングリカン・コミュニオンのスチュワードシップ(管理)を共有するという、前例のない決断を下しました」
「この拡大的な評議会は、信徒と聖職を含む、より広範な世界の聖公会指導者たちと自らの権威を分かち合おうとする、首座主教たちの意志を反映したものです。評議会の議長は首座主教が務めますが、議長は『同位者中の首位者』ではありません」
「現在の『4つの器』(アングリカン・コミュニオンの主要4機関)は、もはや世界の大半の聖公会信者のニーズを満たしていないとの考えに基づき、グローバル・アングリカン・コミュニオンは評議会制によって導かれることになります。世界聖公会評議会は、私たちが古い構造を脱却しようとするならば、古い肩書もまた捨て去らねばならないと判断したのです」
アブジャでの会議を取材した聖公会系の保守派メディア「アングリカン・インク」のジョージ・コンガー編集長は、自身の記事(英語)で、今回の急な方針転換は「何の前触れもなく」行われたとし、多くの人が首位者となる主教の選出を予想していたことから、出席者らを「困惑」させたと報道。この決定について、「対抗的な構造をつくらないことで、カンタベリー大主教やアングリカン・コミュニオンとの対立を避ける」狙いがあるとする見方を示している。
アブジャでの会議は、GAFCONに参加する27の管区(各国・地域の聖公会)から、主教347人、聖職と信徒の代表者121人が出席して開かれた。最終日の6日には、聖公会の教義と規律を守れなかったとして、カンタベリー大主教を中心とする現在のアングリカン・コミュニオンの体制を改めて批判し、聖書に基づいた本来の聖公会信仰への回帰などを訴える「アブジャ宣言」(英語)を発表した。