2025年12月24日13時13分

ワールドミッションレポート(12月24日):中東某国 オペレーション・クリスマス・チャイルド―ダニアとラジオ(1)

執筆者 : 石野博

フランクリン・グラハム氏が代表を務める福音主義の慈善団体サマリタンズ・パースは、多くの慈善活動で神の愛を世界中にデモンストレーションしている。とりわけこの時期になると、1993年から始まったオペレーション・クリスマス・チャイルド(OCC)が忙しくなる。このプロジェクトでは、困難な状況にある世界中の子どもたちに、神の愛とともに、文房具やおもちゃがぎっしり詰まった靴箱のプレゼントを届けるのだ。

以下に、かつてOCCのプレゼントを受け取ったダニアの証しを紹介したい。

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私は中東で生まれました。その国では、私の両親も含めて人口の97%が、イエス・キリストが救い主であり主であることを信じていませんでした。両親は、より良い未来を求めて、同じ地域の別の国に家族で移住しました。そこで、ある牧師さんと出会い、福音の希望について聞き、イエス様に人生をささげました。

しかし、その後の両親の状況はとても厳しく、期待した、より良い生活とは程遠いものだったのです。私たちが住んでいた部屋は空っぽで、食卓代わりに、床に敷くクロス、それが、今度は寝るための布になる。そんな布切れが数枚あるだけでした。父は2つの仕事を掛け持ちしていましたが、それでも家族を養うのは大変でした。多くの夜、私は食べ物を口にせずに寝るか、あっても生の玉ねぎとパンだけでした。

5歳の私の願いは、誰かからのお下がりではなく、自分だけの新しいものを持つことでした。母にこう言いました。「ただ、自分が大切にされていると感じられる、新しいものが欲しいの……」

賢くて神を畏れる女性だった母は、私にこう言いました。「ダニア、その気持ち、よく分かるわ。お父さんとお母さんは新しいものを買ってあげたいけど、今の状況じゃどうしようもないのよ。でもね、お母さんは、それを与えてくれるお方がおられるって、知っているのよ」

私はそれまで、どんな贈り物も受け取ったことがなかったのです。母は私に詩篇23篇を教えてくれました。そして、私は祈りました。「主よ、自分だけの新しいものが欲しいのです。他の人からのお下がりではなく、自分は大切に思われていると思えるようなものを」

その頃、家族は故国からのニュースを知りたくて、ラジオやテレビが欲しかったのですが、買う余裕がありませんでした。だから一緒に祈って、待っていました。少したって教会に行くと、靴箱のプレゼントが配られると知りました。それが何なのか、私には分かりませんでした。それまで、どんな贈り物も受け取ったことがなかったからです。

やがて教会で催しが開かれ、自分の箱を受け取ったのです! これまでの人生で、それ以上のことはありませんでした。今まで味わったことのない喜びが、心に満ちました。

私は大切な靴箱をその場で開かずに抱きしめて、家に持ち帰りました。両親と一緒に開けたかったのです。バスに乗るお金がなかったので、1時間近く歩いて家に帰りました。でもその時間はあっという間でした。

ようやく靴箱の贈り物を開けたとき、私は言葉を失いました。中身は全て新品でした! 鉛筆、ぬり絵にパズル、計算機、ぬいぐるみのクマ、そしてとてもいい香りの石けんが入っていました。これは祈りの答えだとすぐに分かりました。これらのものは、会ったこともない人たちからのプレゼントでしたが、そこには温かい心がありました。これらの贈り物は私を大切に思う気持ちが込められた、私だけのものだったのです!

靴箱の中には、もう一つのサプライズがありました。そうです、小さなラジオです! 何百万もの靴箱の中から、私たちの家族がラジオを祈っていた年に、この箱が届いたのです。私たちは全員、神様以外にこんなことはできないことだと、驚きと感謝をささげました。

その夜、寝る前に靴箱の中のものを数えながら思いました。「神様は素晴らしい!」(続く)

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。