2025年11月22日12時52分

シリア語の世界(37)辞書5・東方教会に関する用語 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

■ 辞書5:「新約聖書シリア語日本語辞典」作成中

シリア語の世界(37)辞書5・東方教会に関する用語 川口一彦

■ 東方教会に関する用語

1. カトリコス
東方教会の総主教

2. 東方教会
古代ペルシア帝国で生まれ、エペソ公会議を拒否したシリア語を話す教会を指す。信徒は東シリア人として知られ、東方使徒教会を自称している。過去に「ネストリウス派」とか「ネストリアン」とも呼ばれたが、その呼称は蔑称であることから、現在は使用していないといわれている。

3. マフリアン
これはアラム語のマフリアの派生語で「解放する、指導者、導き手」の意味があり、東方教会の職制位の一つ。シリア正教会で2番目の高位に就き、チグリス川の東側の教会を担当する。信仰的儀式では洗礼(バプテスマ)、聖餐式、結婚式や葬儀などを指導する。ローマ教会の司教や教父の職制に似ている。

4. メトロポリタン
大主教区で教会管区の最も主要な所在地を言う。ここの司教は大主教と呼ばれている。

■ シリア語による学び:ヨハネの福音書20章29節(右から左に読み書く)

シリア語の世界(37)辞書5・東方教会に関する用語 川口一彦

(続く)

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※ 参考文献
川口一彦著『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)
川口一彦編著『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(イーグレープ、2014年)
川口一彦著『景教碑の風景』(三恵社、2022年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。