2025年10月13日23時49分

シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

紀元202年、ウルファで大洪水が起き、教会堂も破壊されたことを伝えるシリア語文。この地に教会があったことを知る古い貴重な史料。エストランゲロ式書体もある。年代は太陽暦に換算した。シリア文字フォントと文は著者作成。

シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦
シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦
シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦
シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦
シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦
シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦

まとめ

紀元202年、セウェルス王国とマヌ王の子アブガル王の王国において11月に。偉大な王アブガルの偉大な宮殿から湧き出る水の泉は勢いを増し、かつての習慣のように勢いを増して上昇した。そしてそれは満ちて四方八方にあふれ、王国の庭や玄関、家々は水で満たされ始めた。私たちの主君アブガル王は[水を]見てから王国の臣民たちが居住している宮殿から山の台地へ上った。

(続く)

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※ 参考文献
川口一彦著『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)
川口一彦編著『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(イーグレープ、2014年)
川口一彦著『景教碑の風景』(三恵社、2022年)
George Anton Kiraz『The New Syriac Primer』(Gorgias Press、2007年)
『Chronica minora I』(Louvain, Secretariat du Corpus SCO、1960年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。