2025年8月18日11時31分

ワールドミッションレポート(8月18日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(2)

執筆者 : 石野博

オランダでは、ペルシャ語(ファルシ語)を話す亡命者の間で、静かなリバイバルが進行中である。アイントホーフェンの「セブン・ミニストリーズ」は、その中心的存在であり、国内外に広がるネットワークを形成している。牧師モーセン・シェカリプール氏は、かつてイランの地下教会を導いていた人物で、現在は欧州や中東の信者たちに、オンラインと対面の両面で、礼拝と弟子訓練を提供している。(第1回から読む)

ペルシャ系信者にとって、キリストを信じることは、時に命を懸けた決断となる。イランやアフガニスタンでは、イスラム教からの改宗は犯罪とされ、洗礼は投獄やそれ以上の危険を伴う。それにもかかわらず、多くの人々がキリストの召しに従っている。

「私たちは、アフガニスタンの家庭教会のリーダーたちと定期的に連絡を取っています。彼らは、タリバンに見つかれば、逮捕、あるいは処刑される危険にさらされています。なので、今はまだ、インターネットが主要なコミュニケーション手段とならざるを得ません。それでも、彼らの信仰は揺るぎません」とシェカリプール氏は語る。

こうした危険を考慮し、国境付近で行われる地域カンファレンスでは、厳重な安全対策が取られる。参加者には偽名が与えられ、移動も別々に行われる。「私たちはお互いを守るため、参加者同士ですら本名を知らないようにしています」とミニストリー・コーディネーターのデルシャド・シルワニー氏は説明する。「知っているのは、互いに仮の名前だけです」

このような細心の注意は、地下教会の歴史や迫害の実態を知る人々ならではの知恵である。実際、オープンドアーズなどの迫害対策団体の報告によれば、イランやアフガニスタンは、世界で最も厳しいキリスト教迫害国の一つであり、地下教会への摘発や信徒の逮捕は、日常的に行われている。

それでも、ペルシャ語教会の人々は「恐れよりも信仰を選ぶ」と言う。その信仰は、オランダの礼拝堂からアフガニスタンの小さな家の居間にまで、同じ主イエス・キリストを中心に一つに結ばれているのだ。(続く)

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■ オランダの宗教人口
プロテスタント 18・3%
カトリック 25・7%
ユダヤ教 0・2%
イスラム 5・5%
無神論 46・9%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。