2025年7月19日20時10分

ワールドミッションレポート(7月19日):イラン 暗闇に住む者に昇る義の太陽(2)

執筆者 : 石野博

若い時から悪霊的なオカルトに関わっていたドーブは、悪霊の攻撃にも苦しんできた。彼女は最愛の夫と父を相次いで失い、生きる希望を完全に喪失していた。彼女は自殺未遂を図り、病院に運ばれた。絶望と虚無を経て、彼女の人生は暗闇に覆われていたのだ。以下は、ドーブ自身の言葉による証しだ。(第1回から読む)(※登場する人物の本名は伏せてある)

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病院では喫煙が許可されていたので、私は一日に何十本ものたばこを吸い、早くがんになって死ねるようにと願っていました。常に黒い服を着るようになり、自分の部屋の壁まで黒く塗りました。黒という色が、私の人生と心を正確に表しているように感じたからです。

私はイスラム教徒でしたので、これら全ては神の罰だと信じていました。しかし、何の罰なのか分かりませんでした。そこで、神に喜ばれようと、ナマーズ(イスラム教徒がする礼拝の習慣)を日に5回行うようになりました。でも、祈りの始めと終わりには必ずこう言っていました。神よ、私を殺してください。命を取ってください――と。私は神に怒りをぶつけていたのです。

そんな時、おいのレザがキリスト信者になったと聞きました。彼はハナという女性を通してキリストに出会ったそうで、私にも彼女と話すよう強く勧めてきました。実際に会ってみると、彼女は衛星放送で福音を届けるミニストリーの弟子訓練を受けている地下教会のリーダーでした。

彼女が私に語ってくれたのは、私の父や亡き夫よりも深く私を愛してくださる神についてでした。そのメッセージは私の魂に響きました。心が溶かされ、その日のうちに私はキリストを受け入れる祈りをしました。そして、その瞬間に変えられたのです。

すぐに私は家族や友人にキリストのことを語り始めました。彼らは私の変化に驚き、何か力強いものが奇跡的に私を変えたのだと感じてくれました。わずか2カ月で、姉と兄、数人のおばたちがキリストを信じました。

私はハナが受けている弟子訓練プログラムを受け、家の教会を始めました。2年のうちに30〜40人をキリストに導き、幾つもの地下教会をスタートさせたのです。(続く)

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■ イランの宗教人口
イスラム 37・2%
キリスト教 1・5%
無宗教 22・2%
ユダヤ教 0・02%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。