2025年6月29日07時10分

ワールドミッションレポート(6月29日):北朝鮮 大胆な一歩、北朝鮮で執り行われた秘密の洗礼式(3)

執筆者 : 石野博

脱北した女性たちのために、危険を承知の上で秘密裏の洗礼式を敢行した。近年の北朝鮮は、経済的疲弊に拍車がかかっている。そのような極めて貧しい状況にもかかわらず、女性たちは、洗礼式のためになけなしの食物を持ち寄ってささげたのだ。(※人物の名前は本名を伏せて変えてある)(第1回から読む)

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脱北女性たちは、わずかながらもお金を貯めて北朝鮮に残る家族に送金し、過酷な状況の中で生き延びる手助けをしようとしている。

「家族を支えることが、彼女たちが生きる唯一の理由になることもあります」とオープンドアーズの北朝鮮担当コーディネーター、サイモン・リー氏は語る。「私たちの女性支援プロジェクトは、彼女たちに『決してあなたは一人ではない』と伝えているのです。関わるのは簡単なことではありませんが、たくさんの良い変化を見てきました」

リー氏によれば、女性の中には、リーダーとなり、北朝鮮女性のための聖書勉強会を自ら始めた者もいるという。「彼女たちはその学びの中で洗礼についても学びます。でも洗礼を受けることは、この国においても、中国などの脱北した国でも非常に危険なのです。だからこそ、今回の洗礼式が実現できたことを心から感謝しています」

「皆さんの支えが、このような瞬間を可能にしています。皆さんの祈りと献金によって、オープンドアーズの現地奉仕者は訓練や隠れ家を提供できているのです。そのおかげで、こうした女性たちが癒やしと希望を見いだし、密かに、しかし大きな喜びをもって大胆に信仰の一歩を踏み出しているのです。皆さんは、永遠に残る遺産を築いていることを、どうか知ってください」。リー氏は、こう締めくくって感謝を表した。

現地奉仕者のレイチェルもこう加えた。「時には恐れの中を歩みます。しかしそれ以上に、私たちは信仰をもって歩んでいます。そして神様は、必ずそこにいてくださるのです。ご支援に心から感謝します」

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使徒パウロは、彼の宣教を支えた人々にこう言った。「あなたがたも祈りによって、私たちを助けて協力してくださるでしょう。それは、多くの人々の祈りにより私たちに与えられた恵みについて、多くの人々が感謝をささげるようになるためです」(2コリント1:11)

現地で働く宣教団体はもちろん、北朝鮮のために、世界中の多くの祈り手が祈っていることだろう。そればかりか、決して少なくないささげものをもって北朝鮮のためにささげている者もあろう。このような多くの人々の支援は確実に実を結んでおり、多くの感謝がささげられている。引き続き、北朝鮮を覚えて祈っていただきたい。

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■ 北朝鮮の宗教人口
無神論 69・3%
プロテスタント 1・3%
カトリック 0・1%
土着宗教 15・5%
仏教 0・4%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。