多くの若者が、大学進学やキャリアの追求に忙しくしている中、ブラジル系米国人のギャビー・フォンテスはむなしさにさいなまれていた。自分が何者で、何のために生まれ、何のために生きているのか分からず、渇きは募る一方だった。その渇きと虚無感は、彼女に自殺願望さえ引き起こしていたのだ。そんな時、彼女は夢の中で天的な音楽が聞こえ、神と出会ったのだった。(第1回から読む)
その後、友人の勧めで地元の大学のクリスチャンの交流会に参加した。賛美が心に響き、メッセージも書き留めるようになった。「神様のことを少しずつ考えるようになりましたが、正直、まだ心の準備はできていませんでした」
彼女はその後、ニューヨークの大学に転校し、世俗的な生活にのめり込んでいった。「ニューヨークには誘惑が多過ぎました。若さに加えて、周りにブレーキをかけてくれる大人もいない環境だったので、私生活が堕落するのは簡単なことでした」。彼女は再び深い虚無感に襲われたのだ。
「クラブに通い、酒に溺れ、いつしか私は『人生なんてただ楽しければそれでいいのよ』とさえ思うようになりました」とギャビーは当時を振り返る。「私の世界は地獄へ向かう列車のようでした。羽目を外しているのに、ちっとも楽しくなかったのです」
その頃ギャビーは、成功哲学や「引き寄せの法則」といったニューエイジ思想にも傾倒してみたが、心は全く満たされなかった。やがてコロナ禍になると、彼女はテキサスに戻ることにした。
「ある晩、夢の中で神様から、『悔い改めなさい。不信仰な関係や影響を断ち切りなさい』と警告を受けました。その時、イエス様を受け入れようとしたんです。でも直後に、出会い系アプリで知り合った男性から電話が来て、『神なんて存在するわけないじゃん』と言われて、また心が揺れてしまったのです」。信仰が遠のく代わりに、またうつに襲われ、絶望の日々に逆戻りしたのだった。
ところがある日、気を紛らわすために撮っていた Vlog で、彼女は、軽い気持ちで手を組んで「祈ってみようかしら」と口にした。その瞬間、彼女は言葉にできない不思議な体験をする。「突然、聖霊の存在を感じたんです。手が熱く、そして重くなりました。私は驚いて、われを忘れました」(続く)
■ 米国の宗教人口
プロテスタント 35・3%
カトリック 21・2%
正教 1・7%
ユダヤ教 1・7%
イスラム 1・6%
無神論 16・5%
◇