2025年1月8日11時35分

ワールドミッションレポート(1月8日):インドネシア スラウェシ島地震と津波から乗客を救ったパイロットの物語(2)

執筆者 : 石野博

2018年の9月28日、インドネシア・スラウェシ島中部を震源とするマグニチュード7・5の地震が発生した際、聖霊の導きにより、巨大地震によって波打つ滑走路を後に間一髪、離陸をして助かった敬虔なキリスト信者のパイロット、イコゼ・マフエラ機長の証しの続きだ。(第1回から読む)

間一髪、離陸を果たしたマフエラ機長は、離陸して数分後に管制官と通信を試みたが、無線には応答がなかった。ウジュン・パンに到着した後、彼はパルでの地震と津波について知った。地震で管制塔が倒壊する恐れがある中、マフエラの機に、予定より早い離陸許可を与えた管制官のアグンは、彼らの飛行機が安全に離陸するのを見届けた後に管制塔から脱出するために、4階もの高さのある場所から飛び降りた。しかし彼は、その時の負傷により帰らぬ人となった。この時、アグンは若干21歳だった。

巨大地震を察知して、管制塔職員らはいち早く脱出を図った。逃げる際、彼らは管制塔から離れるようアグンに呼びかけた。しかし彼は「いや、まだ飛んでいない飛行機がある」と答え、マフエラの機を安全に飛び立たせるために自分の脱出を遅らせたのだ。マフエラの機の安全な離陸を見届けると、管制塔の屋根が崩れ始め、アグンは脱出のために飛び降りたのである。

「自分の身が安全でないにもかかわらず、アグンは、ほんの一瞬の決断が迫られる中で、私たちを離陸させるために管制を続けてくれたのです。彼は自分の命を犠牲にして職務を全うしました。私にとっての彼は、私たち140人全員を守るために天から遣わされた天使以外の何者でもありません」。マフエラはこの若い管制官の命の犠牲をしのんで語った。

彼は証しをした教会の会衆に対し、普段から神の声を聞くことがどれほど重要なのかを思い出させた。「何が起こっても、私たちは落ち着き、パニックに陥らず、聖霊によって私たちに語られる神の声をはっきりと聞くことが大切です」

マフエラが聖霊の語りかけを聞くことができたのは、彼が普段の生活の中で、いつも主を喜び、絶えず祈り、全てのことを感謝し、毎日読む聖書を通して主の御声に聞き、絶え間ない主との交わりの中にいたからこそのことなのだろう。

このような聖霊の助けは、他の誰かではなく、あなたや私の上にも起きることだ。いや、私たちが気付く気付かないにかかわらず、主は今までずっとそうしてこられたのだ。

聖書は言う。「苦難の日にはわたしを呼び求めよ。わたしはあなたを助け出そう。あなたはわたしをあがめよう」(詩篇50:15)と。今日も優しい天の父に手を伸ばし、声を上げて求めよう。

インドネシアのこの証しが用いられ、多くの人々の救霊につながるように祈っていただきたい。

<<前回へ

■ インドネシアの宗教人口
イスラム 80・3%
プロテスタント 10・8%
カトリック 3・1%
儒教 0・9%
仏教 0・4%
ヒンズー教 1・3%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。