2024年10月18日11時19分

ワールドミッションレポート(10月18日):イラン キリストを信じる対価、ある姉妹の証し(2)

執筆者 : 石野博

イランで看護師として働いていたシミンは、のちに夫となるモシェンからこれを読むようにと勧められ、聖書をもらった(※安全のため、人物の名前は変えてある)。聖書を読み始めた彼女はある日、イエスの生涯を記録した映画を見ながら不思議な体験をし、劇的に回心してキリスト信者になったのだ。(第1回から読む)

信仰が深まるにつれ、彼女は教会に通うようになった。しかし、イランでそれは簡単なことではない。公認の教会は存在するが、イラン政府によって注意深く監視されており、当局は全ての信者の個人情報を綿密に記録し、伝道が行われないようにしているのだ。

イスラム共和国の厳しい制限は、多くの伝統的な教会堂が都市全体で閉鎖されているほど厳しいものだ。主要な都市中心部にあるわずかな教会だけが開かれたままだが、アクセスは伝統的で歴史的な教会員とその家族のためだけの特権であり、国の言語であるペルシャ語での礼拝を禁止するガイドラインの下にある。これにより、イスラム教から改宗した者は誰でも、外側から礼拝をのぞき見る他ないのだ。

新しい信者の弾力的な共同体は、信仰を成長させるために行く場所を必要としている。そのため多くの場合、新しい信者は家の教会という秘密の隠れ家を利用する。個人の家の中で、新しい信者は信仰についてオープンにすることができる。家の教会の外での渇きと忍耐が、礼拝、説教、祈りの瞬間と交錯するのだ。これらの親密な集まりは信仰の制限に挑戦し、政府の監視という課題の中で神の霊が豊かにあふれる聖域を提供するのである。

シミンがキリストを見つけた後に加わったのは、このような家の教会だった。イエスに出会ってから約半年後、彼女は初めて家の教会の集会に参加した。礼拝中、彼女は何をすればいいのか分からなかったが、一つだけ確信したことがあった。「彼らの喜びの理由は分かりませんでした。でも礼拝中、私はそこに神がおられることと、その麗しさを味わったのです!」

シミンの信仰における学びと成長の旅が始まった。彼女とモシェンはすぐに婚約し、その後結婚した。牧師や他の信者たちを通して、シミンはやがて人々に福音を大胆に伝える者となり、信頼できると分かっている人々には聖書さえ渡すようになった。「教会は私の信仰を強め、奉仕するように導いてくれました」と彼女は簡潔に語る。(続く)

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■ イランの宗教人口
イスラム 37・2%
キリスト教 1・5%
無宗教 22・2%
ユダヤ教 0・02%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。