2023年5月6日11時42分

日本人に寄り添う福音宣教の扉(172)「善き隣人バンク」クラウドファンディング目標達成 広田信也

コラムニスト : 広田信也

拡大を続ける「善き隣人バンク」の傾聴スタッフを支えるため、2月13日から4月10日まで実施したクラウドファンディングが、目標額250万円に対し、269・5万円の寄付を頂き、成功裏に終えることができました。

発足以来、活動費の捻出に苦労してきましたが、当面(数カ月)の危機は回避され、大変ありがたく思っています。この間、支援してくださった方はもちろん、活動に協力してくださった方、背後で祈ってくださった方、それぞれに厚く御礼申し上げます。

心のこもった応援メッセージ

いまだ認知度の低い「善き隣人バンク」ですので、プロジェクトページ閲覧件数はそれほど多くないのですが、寄付者の割合や一人当たりの寄付金額は、群を抜く高さでした。また、心のこもった応援メッセージや、情報拡散に惜しみなく協力してくださる方、何度も支援をくださる方には、大いに励まされた次第です。

さらに、この働きの当事者であるスタッフや相談者、依頼者からも応援、支援を頂きました。彼らは、この働きの大切さを実感している同労者ですので、彼らの熱心さは、今後の拡大展開を期待させるものでした。

宣教は、人に寄り添うこと

当初から、この「善き隣人バンク」の働きは宣教活動の中心になることを感じていました。なぜなら、宣教は、人に寄り添うことがなければ、決して進まないことですし、寄り添うことの基本は、相手の話を聴くこと、すなわち「傾聴」活動になるからです。

ただ、「傾聴」を継続することは簡単なことではありません。相談者は、さまざまな重荷を背負い込んでおられますので、働きを担うスタッフは、それらを共に背負うことになるからです。安易に深入りするのは危険です。

私たちは一人の相談者に対し、複数のスタッフを備え、個人情報に注意しながら情報を共有し、相談時間や回数などを管理しながら、有償の仕事として傾聴活動に当たっています。一定のルールを守ることで、ある程度の負担軽減になるとは思いますが、それでも犠牲を払わずには、活動を継続するのは難しいと思います。

また、相談者に対しては無償で寄り添っているため、活動費を得るために、今回のような寄付金だけが頼りです。ファンドレイジングの手法に慣れない私たちですので、活動を支えるための経済的負担は増加の一途をたどり、これも大きな犠牲です。

犠牲の上に大きな祝福がある

宣教の働きは、確かにこのような犠牲の上に成り立つものですが、同時に神様からの祝福が、関わる全ての人に注がれていきます。特に、弱さを抱える相談者に神様ご自身が寄り添い、支えておられる様子を知るとき、私たちは、この働きの大切さを実感し、大いに励まされることになります。

この世の営みは、潤沢な資金と豊富な人材によって進むものだと思います。しかし、こと宣教に関しては、神様の備える信仰、希望、愛こそが働きを進める源になります。

それは、私たちの主イエス・キリストの歩みをたどれば明らかなことです。彼は、私たちを愛する故に、神の御姿を捨て、私たちに寄り添い、私たちの負うべき罪、咎を担ってくださいました。

キリストは神の御姿である方なのに、神のあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられました。人としての性質をもって現れ、自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われました。それゆえ神は、この方を高く上げて、すべての名にまさる名をお与えになりました。それは、イエスの御名によって、天にあるもの、地にあるもの、地の下にあるもののすべてが、ひざをかがめ、すべての口が、「イエス・キリストは主である」と告白して、父なる神がほめたたえられるためです。(ピリピ人への手紙2章6~11節)

イエス・キリストの公生涯はわずか3年あまりですが、彼の歩んだ足跡を通し、その後2千年以上にわたって、非常に多くの人が癒やされ、励まされ、神様からの祝福を頂きました。歴史上、最も効果的な大事業は、イエス・キリストの犠牲を通して行われたのです。

真の信仰者の歩み

イエス・キリストの公生涯において、彼に従った弟子たちは、社会的に高い地位にいた人ではなく、むしろ弱さを抱える素朴な人ばかりでした。イエスが十字架にかかる際、彼らは恐ろしさのあまり、その場から逃げてしまいました。

イエスが納められた墓が開けられ、イエスの体がなくなってしまったとき、弟子たちが遺体を盗んだとする吹聴に、彼らは非常に怯えていたはずです。

しかしその後、よみがえったイエスは彼らに現れ、40日にわたってご自分が生きていることを示し、彼らの前で天に挙げられた後、助け主(聖霊)が来られることで、状況は全く変わりました。

弱さを抱えていた弟子たちは、全世界に出て行き、イエス・キリストが歩まれたように、犠牲を払って人々に寄り添い、宣教を続けたのです。彼らの上には、神様によって、信仰、希望、愛が豊かに備えられていたことでしょう。

彼らは、最期まで弱さを抱える素朴な人だったと思いますが、彼らの人生は、イエス・キリストに似せられた力強い歩みとなり、関わる多くの人々に神様の祝福を届けました。後に、彼らの多くは殉教したと伝えられていますが、喜びに満ちた勝利の人生を送ったことは間違いありません。

神に感謝すべきです。神は、私たちの主イエス・キリストによって、私たちに勝利を与えてくださいました。(コリント人への手紙第一15章57節)

私たちの人生も、イエスの弟子たちのように、うそ偽りのない真の信仰者の歩みにさせていただきたいものです。

弱さに寄り添う真の信仰者の歩みの上に、神様の祝福が豊かにありますように、宣教があまねく日本全土に拡大しますように・・・。

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広田信也

広田信也

(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。新エンジン先行技術開発に従事。2011年定年退職し、関西聖書学院入学、14年同卒業。16年国内宣教師として按手。1985年新生から現在まで教会学校教師を務める。88~98年、無認可保育所園長。2014年、日本社会に寄り添う働きを創出するため、ブレス・ユア・ホーム(株)設立。21年、一般社団法人善き隣人バンク設立。富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。関連聖書学校:関西聖書学院、ハーベスト聖書塾、JTJ宣教神学校、神戸ルーテル神学校