2022年4月6日17時37分

聖書と植物(1)種のできる草 梶田季生

コラムニスト : 梶田季生

聖書の植物(1)種のできる草 梶田季生
(写真:outsideclick)

「スイカ1個の中に、種が幾つ入っていますか」

夏のある日、4〜5人の小学生が農場に来ての質問でした。数の捉え方によっては、意味が変わります。種の嫌いな消費者の立場からは「少ない」あるいは「ない」方が良いことになります。嫌いな理由の上位の一つが「多い」こと、「食べにくい」ことだからです。

このような時代を先取りして、3倍体の種なしスイカが作られました。今は極めて小さい種にした新品種が作られています。いつの時代も食べやすく、作りやすく、安定して供給できる品種が求められています。ちなみに、先ほどの質問の答えは「300〜500」です。

神が植物を創造されたときの記録が、創世記1章11〜12、29節にあります。ここに「種のできる草」「種の入った実を結ぶ果樹」の言葉が6回繰り返されています。神が強調しているところです。

10メートルに及ぶ木を、わずか1センチ内外に凝縮させたものが種です。持ち運びしやすく、生存しやすい形です。当たり前と思うかもしれません。しかし、その仕組みを聖書は「神の知恵」といいます。それ以上に驚かされたことがあります。受粉して7〜10日たったときに、つるから切り離された幼果をそのまま畑に放置しておきます。その果実の大きさはもちろん変わりません。しなびているものもあります。ところが、スイカの収穫時期に切りますと、わずかですが種ができていたことです。もちろん発芽できる黒い種です。「種の入った実」という聖書の表現は、奥が深いです。

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このほど、聖書の視点から植物に託されたメッセージをひも解く『聖書の植物』(イーグレープ、四六判・300ページ、税込み2200円)を出版しました。なぜイエスは人との関係をブドウに例えたのか、アーモンドはなぜキリストの復活の象徴なのか。実物のカラー写真を配置しながら、分かりやすい言葉で解説しています。聖書の物語を知る読者にとって、あらためてその奥深さを学ぶ絶好の機会となることでしょう。ご注文は、全国の書店・キリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

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梶田季生

梶田季生

(かじた・すえお)

1946年愛知県生まれ。66年に日本バプテスト宣教団津新町キリスト教会で受洗。学生時代はKGK(キリスト者学生会)で交流。68年に三重大学農学部農学科(育種)を卒業。72年に大阪聖書神学校を卒業後、池田キリスト教会伝道師。80年から南都農園(現ナント種苗)飛鳥育種農場で品種改良に従事し、メロン、カボチャ、大根を担当。農場長および宇陀育種研究農場長を経て退職。単立名張聖書キリスト教会元牧師、みえ洗足キリスト教会元協力牧師。このほど、聖書の視点から植物に託されたメッセージをひも解く『聖書の植物―草と木に託されたメッセージ』(イーグレープ、四六判・300ページ、税込2200円)を出版した。なぜイエスは人との関係をブドウに例えたのか、アーモンドはなぜキリストの復活の象徴なのか。実物のカラー写真を配置しながら、分かりやすい言葉で解説している。注文は、全国の書店・キリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。