2021年5月22日21時33分

日本人に寄り添う福音宣教の扉(121)心を騒がせてはなりません 広田信也

コラムニスト : 広田信也

日本人に寄り添う福音宣教の扉(121)心を騒がせてはなりません 広田信也

「あなたがたは心を騒がせてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい」(ヨハネの福音書14章1節)

コロナ禍の続く日本社会では、主にメディアを通し、不安をあおる情報が流れ続けたため、心を病む人が多くなってしまいました。減り続けていた自殺者の数は増加傾向に転じています。

昨年の春、「日本人に寄り添う福音宣教の扉(93)新型コロナウイルスの影響を正しく判断する」を投稿した頃、感染症の専門家たちが被害の少ない日本の状況を冷静に分析してくれましたので、昨年5月ごろにはすべて収束すると思い込んでいました。

しかしその後、残念ながら偏向報道の勢いは収まらず、ウイルスそのものの被害は少ないにもかかわらず、多くの人が抑圧された時間を長期にわたって過ごすことになりました。

今でも一般メディアからの報道に大きな変化はありませんが、これまで公表されたデータから被害の少ない実態を十分に確認できますので、データを吟味し、心を騒がすことなく、落ち着いた生活を早く取り戻してほしいと思います。(参考:東洋経済オンライン・新型コロナウイルス国内感染の状況)

データを正しく読み取るために

事実を示すデータを用いれば、伝えられる情報はすべて正しいと思っておられる方が多いと思いますが、実は同じデータを使ってまったく反対のことを伝えることができます。

例えば、毎日報道される新型コロナの死亡者数の累計は次第に増加し、今年春に1万人を超えました。このような結果をグラフで示し、声高に恐怖をあおっているのが現在の偏向報道の状況です。まるで、日本中に被害が日々拡大しているように伝えられています。

しかし、ここに日本で毎日亡くなる約4千人と、年間の死亡者数、約140万人の現状、さらに新型コロナと同じような肺炎による毎日の死亡者数、約300人(年間約10万人)の参考データが示されるなら、新型コロナの被害はさほど大きくないと感じるでしょう。

さらに、PCR検査の陽性者を発症のない人も含めて感染者と表現したり、死亡後の検査の陽性者を新型コロナによる死亡者に加えたりする異例のデータ処理の実態を知れば、実際の被害がさらに少ないことに気付くと思います。

新型コロナウイルスは日本人を健康にした?

新しいウイルスによる被害の実態は、関連死などの被害を含めて総合的に判断するため、例年の死亡者数をもとにした予想死亡者数と実際の死亡者数との差を示す超過死亡者数を参考にします。

高齢化の進む日本では、毎年死亡者数は増え続け、昨年は140万人を超えると予想されていました。ところが、実際の死亡者数は一昨年よりも約1万人、予想よりも約3~4万人も少ない結果になりました。結果として、新型コロナウイルスの出現により、日本人はより健康になったことになります。

このような結果が生じた理由は、多くの人が自粛要請に応えマスクを着用し、外出を控えた効果が多少あったのかもしれません。ただ、自粛の効果は世界各国で大きく期待されているにもかかわらず、実際のデータで確認されたことはありません。

一方、データを注意深く調べると、毎年1000万人の感染者を出すといわれるインフルエンザの流行が、自粛以前の2019年末より極端に抑制されていることが分かります。

このような傾向は世界各国で確認され、新型コロナウイルスの存在がインフルエンザなどの危険なウイルスの被害を著しく抑制した可能性を示しています。昨年4月のコラムでもこのことに触れましたが、ウイルス間の干渉について専門家の詳しい知見が必要になっています。

いずれにしても、超過死亡者数が異例の減少傾向にある日本では、実際の被害は非常に少なく、むしろ例年より安全な環境にあったことは間違いなさそうです。

心を騒がすことなく平穏な毎日を

冒頭に示したヨハネの福音書14章1節は、イエス・キリストが十字架に架かる直前に弟子たちに語られた言葉です。状況を理解できない弟子たちに受け入れ難い現実(十字架と復活)が迫っていることを伝え、心を騒がすことなく信じるように勧めています。

このようなイエス・キリストの勧めがあっても平穏に過ごせないのが人の常ですが、信仰に支えられた弟子たちは、キリストの復活の祝福にあずかりました。

今後、メディアの偏向報道がどのようになるかは不明ですが、まず信仰者が心を騒がすことなく平穏を取り戻し、毎日の生活に指導的な役割を担ってほしいと思います。そして、愛する日本の国民がコロナ禍を早く脱出し、祝福された活発な日常を取り戻すことができるよう、心より願っています。

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広田信也

広田信也

(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。新エンジン先行技術開発に従事。2011年定年退職し、関西聖書学院入学、14年同卒業。16年国内宣教師として按手。1985年新生から現在まで教会学校教師を務める。88~98年、無認可保育所園長。2014年、日本社会に寄り添う働きを創出するため、ブレス・ユア・ホーム(株)設立。21年、一般社団法人善き隣人バンク設立。富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。関連聖書学校:関西聖書学院、ハーベスト聖書塾、JTJ宣教神学校、神戸ルーテル神学校