2020年2月13日16時15分

新・景教のたどった道(27)唐代の漢訳書・その2『一神論』(4)世尊布施論③ 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

「世尊布施論」のメシアの裁判と十字架刑、復活と宣教命令の部分を紹介します。

世尊が言われた。誰が私をメシア(弥施訶)と言うのか。私は民衆が求めているようなメシアではない。

ユダがメシアをだまして逮捕しようとした。

イエスが法により高い所に架けられて命が尽きたとき、地は動き、山は崩れた。岩の上にあった毛織物で作った掛物が聖なる所で2つに裂けた。墓は開かれ、福徳のあった死者が生き返り。・・・絶え間なく太陽が見えず、闇であった。聖なる方がこのようにされた。闇で人の目には一切が見えなかったが、聖なる方は見ておられた。

イエスのもとにはアリマタヤのヨセフという者が、法によりメシアの死体を家に運んだ。新しい麻布で包み、新しい墓に向かい、墓は山襞(やまひだ)にうがった墓で、大きな石でふたをし、封印した。

総督(ピラト)はユダヤ人に墓の番をするように言った。メシアが3日のうちに死から復活すると言い、人を迷わせてはいけないし、棺を盗まれぬようにしてほしい、それはメシアが死人の中から復活すると語ったからである。

ユダヤ人は3日間、メシアの墓を見張った。墓は外から女の手で開かせたかのようで、女は「見た」と証言した。飛仙(天使)は世尊の使いで、メシアに白衣を着せた。・・・石の上には飛仙に似た者が墓の番をして座っていた。

女が墓に来るのを見て、メシアは「おはよう(是実)」と言って、将来のことは使徒たちと話し合い、私が天から来たこと、やがて来ることを話して立ち去った。

一切(すべて)の所に行き、私の言葉を一切の種類の人に語りなさい。父と子と聖霊(浄風)の名(字)でバプテスマ(向水)を施し(具足)なさい。私はどこにでもいる。君たちは途にあって、これを天下の至る所で尽くしなさい。

このように見ますと、聖書のストーリーとは似ていますが、そっくり書き写したというものではありません。以下に続く使徒たちの活動は省略しましたが、聖霊が火のように弟子たちに臨み、教会が進展したと書かれています。

新・景教のたどった道(27)唐代の漢訳書・その2『一神論』(4)世尊布施論③ 川口一彦

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※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
旧版『景教のたどった道―東周りのキリスト教』

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市生まれ。愛知福音キリスト教会宣教牧師、基督教教育学博士。聖書宣教、仏教とキリスト教の違い、景教に関するセミナーなどを開催。日本景教研究会(2009年設立)代表、国際景教研究会・日本代表を務める。季刊誌「景教」を発行、国際景教学術大会を毎年開催している。2014年11月3日には、大秦景教流行中国碑を教会前に建設。最近は、聖句書展や拓本展も開催している。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ―新装改訂版―』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。

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電話:090・3955・7955 メール:[email protected]

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