2018年12月9日08時34分

ニュースNジョイ関連団体は「キリスト教」か「首領教」か

「教会改革口実にキリスト教界を扇動」疑惑集中報道(4)

クリスチャン新聞編集顧問の根田祥一氏が編集長だった2004年、本紙に関する虚偽の情報を日本福音同盟(JEA)に提供した際、主な情報元となった韓国のキリスト教メディア「ニュースNジョイ」。その過激な論調だけでなく、鮮明な親北傾向が韓国のキリスト教界内でたびたび問題視されてきたが、このほど、さまざまな関係資料により、北朝鮮の朝鮮労働党の指導理念である「主体思想」を支持する韓国の政治運動「主体思想派」と密接に関係していることが浮き彫りになった。韓国クリスチャントゥデイによる集中報道第4回(8日付)を紹介する。(前回の記事はこちら)

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本紙は、ニュースNジョイに関連する主体思想派性向の団体「美しの村」共同体が韓国軍にまで浸透し、思想工作として金日成を賛美鼓舞する活動を広げて処罰を受け、大きな波紋を呼んだ事件を7日に報道した。

ところが、彼らの大胆なまでの歩みは、大学街や教会青年部、宣教団体にまで伸びていた。資料によると、ニュースNジョイが広報を通して青年募集を助け、その青年たちにキリスト教青年アカデミーが教育を通して思想を植え付けた後、「美しの村」が共同体生活を通していわゆる革命戦士に育成し、そのうちの幾人かをニュースNジョイに「派遣」するという方式の有機的な活動を進めてきたものと見られる。

ニュースNジョイ関連団体は「キリスト教」か「首領教」か
キリスト教青年アカデミーに参加した青年の一人ジョン・インゴン氏は「『美しの村』のことを聞いて好奇心が生じた」とのコメントを投稿したが、ニュースNジョイ元編集局長のジュ・ジェイル氏が「美しの村」の掲示板に投稿したコメントによると、ジョン氏は写真を撮るたびに「主体思想万歳」を叫ぶという。(画像:キリスト教青年アカデミーホームページのスクリーンショット)

キリスト教青年アカデミーは教会や宣教団体のメンバーを、北朝鮮を称賛する人々が集まった「美しの村」共同体に引き込む手段として活用されている。この過程では、「立てる土台(セウムト)」と呼ばれる集団を使った戦略的な取り込み方式もあることが確認された。

情報提供者はこの「セウムト」について、「人々をすぐに『美しの村』に引き込むことはできないから、『セウムト』を通して共同体生活をさせた後、『より具体化された共同体があるので行ってみよう』というふうに接近するものと見られる」と述べた。

ニュースNジョイ関連団体は「キリスト教」か「首領教」か
キリスト教青年アカデミーとSFCが共催した「クリスチャン青年たちの『キリスト教青年アカデミーを知る』キャンペーン」を推進したニュースNジョイ(画像:ニュースNジョイオンライン記事のスクリーンショット)

これにより、特に保守教団の大韓イエス教長老会高神教団の宣教団体SFCが大きな内紛を経験した。SFCは過去に、キリスト教青年アカデミーと済州(チェジュ)島の江汀(カンジョン)村で「美しの村」のイベントを開いたり、キリスト教青年アカデミーのイベント開催時には会場を提供したりしていたほか、2008年には修養会の講師として「美しの村」代表のチェ・チョルホ牧師を招くなど、密接な関わりを持っていた。

このことがSFC内で議論を呼ぶことになり、高神教団は「美しの村」から脱退するよう勧告した後、応じない幹事らを辞任させた。高神教団は「美しの村」について、「民衆神学を土台にした自由主義的聖書解釈をする傾向がある」と指摘し、「また、従来の教会の職制を無視し、素人が持ち回りで説教するなど、ウェストミンスター信仰告白書で規定する普遍的教会の姿ではない」(2017年第67回総会報告書)としている。

当事者の一人であったパク某氏は、過去に「美しの村」のホームページに掲載した感想文で「6年前に初めて『福音と状況』と出会い、ニュースNジョイと出会い、キリスト教青年アカデミーと出会い、『美しの村』共同体と出会い・・・これらの出来事がよく系列化されていっている気がします」とし、このような教育を通じた自身の変化を「第2の回心」と呼んだ。

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パク某氏が、過去に「美しの村」のホームページに掲載した感想文。(画像:掲示板のスクリーンショット)

パク某氏が述べた「第2の回心」とはいったい何なのか?過去に左派陣営にいたが転向した長老会神学大学校のキム・チョルホン教授は、自身が共産主義に陥った経験を「政治的改宗」だったと表現したが、パク某氏が経験した「第2の回心」も同様の性格を持つものと思われる。キム教授は、当時の強烈だった瞬間について「私は共産主義者に生まれ変わった。共産革命のためなら私の命を喜んで差し出すことができ、革命のためなら死んでも光栄だと思うようになった」と述べた。

パク某氏はまた、キリスト教青年アカデミーに参加したときの感想文に「神に会って、私の考えが変化した場合、変化したという考え通りに生きればいいのだが、考えが変わって信仰が変わったのに、なぜ私の人生は変わりないのだろうか。韓国の教会が常に抱えている質問」と述べ、「歴史はその原因を、帝国主義と分断、軍事政権時代を経て、徹底的に欺瞞的機会主義的だった教会に探している」と主張するなど、反米的性向も複数回示した。

パク某氏は高神教団の勧告を拒否して辞任したあと、現在の江原道洪川にある「美しの村」共同体で生活している。

そうであれば、これらの教えは何であり、本当にこれは「キリスト教の信仰」に符合するのか?本紙が入手した資料と、すでに報道した内容によると、彼らの信仰と教えは、北朝鮮の金日成を崇拝する疑似宗教に近い。ソウル大統一研究院のキム・ビョンロ教授は、疑似宗教化した北朝鮮の主体思想を「首領教」と表現した(訳注:北朝鮮では金日成のみに対する最高の敬称として「首領様」と呼称する)。この首領教は、キリスト教の救いを社会的・歴史的解放という視点で解釈し、その延長線上に朝鮮民族の解放者は金日成であり、従って彼はすなわち救世主とする。このような解釈の中に、イエス・キリストの居場所はない。

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「美しの村」共同体代表のチェ・チョルホ牧師は「労働はすなわち祈り」とした。(画像:「Cチャンネル・マガジン・グッデイ」映像のスクリーンショット)
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「美しの村」共同体のホームページにある、いわゆる「食卓の祈り文」(右下の赤い囲みの中)。太陽、水、風、土、虫などの被造物に感謝するだけで、イエス・キリストと神の恵みへの感謝はまったく見つけることができない。 (画像:「美しの村」ホームページのスクリーンショット)
ニュースNジョイ関連団体は「キリスト教」か「首領教」か
「美しの村」の信仰方式に疑問を提起する掲示板へのコメント。礼拝中に賛美歌の代わりに民衆歌謡を歌い、ヨガまですると問題提起したが、キム・ドンオンという人物がこれを否認もせず個別に連絡をくださいとコメントをつけた。このキム・ドンオン氏はニュースNジョイの元記者だ。(画像:「美しの村」ホームページのスクリーンショット)

「美しの村」代表のチェ・チョルホ牧師は「Cチャンネル・マガジン・グッデイ」とのインタビューで、「労働はすなわち祈り」とした。「美しの村」の食事の祈りは、神とイエス・キリストの恵みではなく、空や土、虫などにのみ感謝しており、礼拝の時は賛美ではなく、民衆歌謡を歌うこともある。

もちろんエキュメニカルなキリスト教にも民衆神学と伝統神学が存在するが、「美しの村」などの行動は、そのカテゴリもはるかに超えている。ニュースNジョイがいう「教会改革」も、改革派教会信仰がいう改革とはまったく違う。

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過去にニュースNジョイの記事に掲載されたコメント。「いつか統一についてアカデミーを申請して1つの講座を聞いたことがあります。・・・北朝鮮賛美一色でした。まるで大学の時、NL(民族解放民主主義革命派)の子たちの主体思想賛美歌の、ちょっと弱いバージョンのように思われました。北朝鮮に対する問題提起や批判などについてちょっと戸惑いながら、他の講義を聞きなさいという要請を受けました。そんな統一講義、そんな北朝鮮に関しての理解をちょっとしないでほしいです。キリスト教青年アカデミーではなく、おかしな運動圏のサークルのようでした」という内容だ。(画像:ニュースNジョイコメント掲示板のスクリーンショット)

「美しの村」では、北朝鮮赤衛隊の「青春(原題:一つしかない祖国のために)」という歌を歌うという。彼らが大声で叫ぶ「一つの祖国」は、神の国なのか、大韓民国なのか、そうでなければ金日成の主体思想に立脚した北朝鮮なのか。

神からは、世界中でイエス・キリストの御名のほかに、救われるべき名としてはどのような名も人間に与えられておらず、イエス・キリストと金日成への信仰は当然のことながら、絶対両立することはできない。従ってニュースNジョイ、キリスト教青年アカデミー、「美しの村」共同体、その他の関連団体は、これに対する立場を公式に明らかにしなければならない。

ニュースNジョイ関連団体は「キリスト教」か「首領教」か
「美しの村」共同体のチェ・チョルホ代表は2005年1月1日、妻と一緒に訪朝した際に写真を撮影したが、当該写真には「21世紀の太陽、金正日将軍万歳」という文句が鮮明に見える。(画像:「美しの村」インターネット掲示板のスクリーンショット)

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