2018年3月15日18時40分

温故知神―福音は東方世界へ(93)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本38 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ(93)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本38 川口一彦

<本文と拓本>文字32(1144+32=1176)

陟幽明(・・・幽明を黜陟し)、闡九疇[註]以惟新景命(九疇[きゅうちゅう]を闡きて以て景命を維新す)。化通玄理祝無愧心(化は玄理に通じ祝は愧心無し)。至於方大而虗(方に至れば大いに虚しく)、専靜而恕(専ら静にして恕)、廣(廣く)

<現代訳>

治安のための九種の法を設け、景教の使命を新たにされました。景教の教えを体得され、祈る心は恥じるところがありません。国は偉大で謙虚、平和で憐れみ深いです。

[註]九疇は、かつて紀元前の古代中国の箕子が周王の問いに答えた、天下を治めるための9つの律法で、五行、五事、八政、五紀、皇極、三徳、稽疑、庶徴、五福のこと。

<解説>

当時、皇帝による国の支配が困難を乗り越え、安定を求めたことにより、景教の使命も新しくされていったことが伺える。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

<<前回へ     次回へ>>

◇

川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。