2017年12月21日06時39分

温故知神―福音は東方世界へ(87)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本32 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神―福音は東方世界へ(87)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本32 川口一彦

<本文と拓本>文字32(958+32=990)

有僧佶和(僧の佶和あり)、瞻星向化(星を瞻て化<教化>に向かい)、望日朝尊(日を望みて尊に朝す)。詔僧羅含、僧普論等一七人(僧の羅含、僧の普論等十七人に詔し)、與大徳佶和、於興慶宮(大徳佶和と興慶宮にて)・・・

<現代訳>

僧佶和(ギワルギス)が星を見、教えを伝えるために日を望みて来唐し皇帝に謁見、僧羅含(アブラハムとの説あり)や僧普論(パウロとも読める)ら17人とともに大徳佶和が興慶宮に招かれ、・・・

<解説>

この時代、景教徒たちが霊的に弱体化しており、アフガニスタンの宣教の拠点バルクか、中国西部の拠点から指導者たちが来唐し、力づけたとの記事です。大徳は有力な指導者の意味、僧とは一般的な指導者のこと。尊経に、宜和吉思の人物名が出るが、一致するかは不明です。

長安場内の興慶宮は、唐の皇帝の玄宗が皇帝になって714年に名づけられました。興慶宮は唐皇帝の宮殿で、この所に指導者たちは招かれました。現在は跡地に「興慶宮公園」が造られ、そこに阿倍仲麻呂碑が建てられています。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市生まれ。愛知福音キリスト教会宣教牧師、基督教教育学博士。聖書宣教、仏教とキリスト教の違い、景教に関するセミナーなどを開催。日本景教研究会(2009年設立)代表、国際景教研究会・日本代表を務める。季刊誌「景教」を発行、国際景教学術大会を毎年開催している。2014年11月3日には、大秦景教流行中国碑を教会前に建設。最近は、聖句書展や拓本展も開催している。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ―新装改訂版―』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。

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