2016年11月11日19時01分

温故知神—福音は東方世界へ(59)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本4 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神—福音は東方世界へ(59)大秦景教流行中国碑の現代訳と拓本4 川口一彦

<本文と拓本>28文字(77+28=105)
二氣 暗空易而天地開 日月運而晝夜作匠成万物 然立初人別賜良和

<注>
二氣は陰と陽で、闇と明のこと。暗空が易わり(暗空が変わって)は、創世記1章2節の表現と考える。

天地を開かせ、日(太陽)と月が運行し、昼と夜が匠に作られ、万物はなった。

初人とはアダムで、彼に良和・エバを賜った。

<現代訳>
陰陽の二氣を生じさせると暗い天空が変わって天と地が開き、太陽と月が運行し、昼と夜が作られ、万物が匠に成りました。

初人(アダム)を立て、エバを賜りました。

<解説>
ここは創世記1章2節からと、アダムとエバが造られた部分の要約です。二氣、陰陽などは当時の古代中国の思想から影響を受けた文字です。創世記1章2節では混沌とした闇から光を創造したと伝え、古代中国に聖書の教えがいつからか影響したのかと考えます。

紀元前140年ごろに成立した書物『淮南子』天文訓1には二氣について書かれ、氣が地と天を作ったとされていますが、碑文の記事では三一の神が天地や人を創造したことを伝えています。ですから、中国思想の引用から記事を書いたとは言えないでしょう。

では、どうしてこのような漢字が使われたのかは、当時の皇帝や一般民衆に聖書の教えを分かりやすく伝えようとしたと考えます。

この後の碑文に出る「大秦国」の地理的状況を伝えるのも、景教徒たちがどこから中国の唐に来たかを解説しているからです。

初人とは、人類の始祖のことで、聖書の神によって造られたことを伝えました。

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市生まれ。愛知福音キリスト教会宣教牧師、基督教教育学博士。聖書宣教、仏教とキリスト教の違い、景教に関するセミナーなどを開催。日本景教研究会(2009年設立)代表、国際景教研究会・日本代表を務める。季刊誌「景教」を発行、国際景教学術大会を毎年開催している。2014年11月3日には、大秦景教流行中国碑を教会前に建設。最近は、聖句書展や拓本展も開催している。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ―新装改訂版―』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。

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