2016年8月16日07時26分

FINE ROAD―世界の教会堂を訪ねて(29)イタリア巡礼とルルドへの旅⑤ 西村晴道

コラムニスト : 西村晴道

アッシジ2 サンタ・キアラ教会と街
訪問 2016年5月21日(土) 建設 1257~60年

聖フランシスコと共に働いた聖女キアラ(クララ)の教会

聖フランシスコ大聖堂からアッシジの街並みを見ながら15分ほど歩くと、キアラ教会がある。聖フランシスコ大聖堂を模したゴシック建築で、外側の14世紀末の3つのアーチ(構造フライングバットレス)が印象的。紅白の石造りのストライプ模様はイスラムの雰囲気を感じる。後陣には四角い鐘楼もある。

FINE ROAD―世界の教会堂を訪ねて(29)イタリア巡礼とルルドへの旅⑤ 西村晴道
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清楚な白とやさしいピンクのストライプ模様が美しい外観、聖堂内には今もクララが眠る。
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アッシジの地図
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聖フランシスコの後ろに立つのがキアラ
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静かに眠るキアラ

聖フランシスコは小鳥にも説教をしたといわれる。アッシジの道を歩くとき、木立の間から小鳥の声が聞こえてきた。さえずりが何かを語り掛けている。美しい旋律の歌声のように青空に響いた。小鳥と心の中で話ができた不思議な出来事。

聖キアラ

アッシジの名門貴族の家に生まれたキアラ(「輝く」の意)は、ある時聖フランシスコの説教を聞き、これこそ自分に対する神のご意志であると知った。身をささげ、主イエスやフランシスコのように働き、祈り、平和と喜びのうちに生活しようと決心し、両親の許しを得られなかったため夜秘かに家を出た。

ポルチウンクラの礼拝堂で待ち受けていたフランシスコ会の兄弟たちに、キアラはそのきらびやかな衣装を渡し、粗い毛織の修道服を受け取り、宝石をちりばめた帯を、結び目のある粗い縄と取り替え、美しい刺繍で飾られた靴の代わりに、素足に木のサンダルを履いた。そして、黄金の髪が落とされ、厚い黒の被り物をかぶった。

アッシジ一帯の若い娘たちが同じ道を選び、キアラの妹アグネスも加わり、世俗と隔絶した清貧の共同生活が始められた。その後聖フランシシコの要請で女子修道院長となり、自ら病人を看取り、率先して働き、修道女たちによい手本を示した。

40年余の修道生活を祈りと強い意志で神と共に生き、1252年サン・ダミアーノ女子修道院でこの世を去った。キアラは1255年アレクサンドル4世によって列聖された。

(巡礼の旅の資料より抜粋)

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正面広場
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正面入り口 外郭アーチを両脇でライオンが支える。
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鐘楼がそびえる。
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3つのアーチ(構造フライングバットレス)
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噴水とメリーゴーランド
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見晴らし台からの眺め。ウンブリア平野が広がる。
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聖キアラ教会から、マジョーレ城塞(12世紀)を見上げる。

アッシジの街

わが巡礼団の神父5名(全て外人)のうち、左からニコラウス神父(フィリピン)、アンリ神父(コンゴ)、ガブリ神父(カナダ)。

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Tの形のアッシジ十字架

T(タウ)は、ヘブライ語のアルファベットの最後22番目の文字。聖フランシスコが手紙などで好んで使っていたタウが、アッシジ十字架となった。

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どこをとっても絵になるアッシジの街
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ウンブリア平野が広がる。
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赤い旗の飾られた通り
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水場
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青い旗が飾られた通り
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モンテ・フルメンターリオ。1267年、貧民を収容する病院として建てられた。現在は展覧会会場に用いられている。紅白のアーチや、ロマネスク・ゴチック様式の回廊が美しい。

コムーネ広場

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ポポロの塔
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噴水

サン・ルフィーノ大聖堂

アッシジの守護聖人ルフィーノ司教をまつるドゥオーモは、ロマネスク様式の最高傑作。ジョバンニ・ダ・グッビオ作(1140年)。

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昼食のレストラン ペペロンチーノ、チキンのポテト添え、アイスクリーム

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西村晴道

西村晴道

(にしむら・はるみち)

1948年、靜岡県生まれ。一級建築士。法政大学工学部建築学科卒。住友建設株式会社入社・退職し、米ソービック建築設計事務所短期留学を経て、84年に西村建築設計事務所開設。ルーテル学院大学第10回リード賞(キリスト教芸術分野)受賞。日本福音ルーテル教会員。著書に『FINE ROAD―世界のモダンな教会堂をたずねて』。