2016年8月4日07時23分

温故知神—福音は東方世界へ(52)景教小事典⑦ 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

温故知神—福音は東方世界へ(52)景教小事典⑦ 川口一彦

景教徒の人物像を想像して描いてみました。1人の信徒が主にささげている絵です。ささげることにより主の教会は広がっていきました。

大秦景教流行中国碑文(以下「碑文」)には信徒の生活について書かれています。それを次に記しました。左の文字が漢文で右が現代の意味です。

景日 ➡ イエスの復活日
景風 ➡ 景教の教え
景福 ➡ イエスの祝福
景士 ➡ イエスの信徒
景寺 ➡ 会堂
達娑(タルサ)➡ ペルシャ語で信徒
景衆 ➡ 景教徒
暗府 ➡ ヨミ

碑文のはじめには創世記冒頭の天地創造について記し、初人アダムと良和エバの存在、2人の罪と堕落が全人類に及んだこと、罪と堕落から救う救い主メシアの聖降誕と星に先導されてペルシャから貢物を持参してささげたこと。メシアの死と復活、信仰者の教会生活。

635年に宣教師が唐に来て皇帝に聖書と福音を伝え、聖書類などを漢訳して献呈したこと。3年後に公的宣教許可が下りると、会堂が建てられ、信徒も増えていきました。

碑文では、約200年以上の歴代皇帝と景教徒との関わりや宣教の記録をシリア語も交えて伝えています。

特に信徒たちは問題行動を起こさず、主の福音にふさわしく生きていたことも伝えています。

著者が描いた和同開珎の絵は中国唐代の都、長安で使用されていたのかは不明ですが、1970年に中国の西安で発見された銀貨。和同開珎(寶)は和銅元(708)年の作。日本でも発見されています。

温故知神—福音は東方世界へ(52)景教小事典⑦ 川口一彦

※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
『景教のたどった道―東周りのキリスト教』(キリスト新聞社、2005年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。