2016年6月17日19時24分

ちいさな絵本や日記とにゃんずたち(15)お父さん、ありがとう 高津恵子

コラムニスト : 高津恵子

信州からこんにちは! 小さな絵本屋Noelです。

トルストイ原作の『くつやの まるちん』は、よく知られているお話ですね。
マルチンおじさんのお話を読むと、父のことを思います。

子どもたちの顔を見ると怒ってばかり、それが父親の役目だというように。
特にみんなが食卓に集うときに説教〈牧師ではないただの父?〉が始まるのでした。
楽しいはずのごはんどき、
私たち子どもは父がいない方がいいとまで思っていました。

その父が高齢になり、入院したとき
家族に「今まで厳しくして悪かった」と言いました。
周りのみんなにとにかく厳しい父でしたから、驚きました。
気が弱くなったのか? 覚悟ができたのか?
最後までそんなことは言わないだろうと思われていましたから。

それまで心に溜まっていたわだかまりが、スーっと消えていくのが分かりました。
「お父さん、ありがとう」と、やっと素直に言えました。

もう残された時間がないと分かったとき、聖書と賛美歌を聴かせてあげました。

でも訪ねてきた牧師を追い返すマルチン同様、「うるさい!やめてくれ」と言われました。

そうですよね。そんなに事はうまく運びません。
しかし、もう医療では術がなくなり、ただその時を待っている状態になったころは、
毎日来てくれと言われるようになりました。
そして、一緒に主の祈りを祈ったとき、アーメンとはっきり言って、数日後に旅立っていきました。

神様、あなたの憐れみと愛をありがとうございます。

ちいさな絵本や日記とにゃんずたち(15)お父さん、ありがとう 高津恵子

『くつやの まるちん』(トルストイ 原作、かすや昌宏 絵、渡洋子 文、至光社)

*

甘えっ子のあきちゃんです。まだ乳離れができません・・・

ちいさな絵本や日記とにゃんずたち(15)お父さん、ありがとう 高津恵子

ある日のちぃママとの会話
あき「ねぇママ・・・私のパパは?」
ママ「パパはマルチン・・・いえ、マドロスよ、船乗りだから今は地中海のほうかしら!?」
あき「ふ~ん、そっか~大きな魚でも探してるのかな~??」
ママ「そうよ、みんなのために鯨を探しているのかもね」

パパ・・・ヨナ?

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◇

高津恵子

高津恵子

(たかつ・けいこ)

上田女子短期大学卒業、2007年JTJ宣教神学校神学部卒業。実家のホテルで20年勤務した後、保育園勤務。佐久市社会福祉協議会ボランティアスタッフ。「ブレッシング・ホームチャーチ」メンバー。10年から絵本屋「ノエル(NOEL)」を始める。1999年受洗。著書に、最新刊「心に寄り添うおとなの絵本(小さな絵本屋さんが綴った12のメッセージ)」がある。

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