2016年5月14日15時18分

受難週と復活「互いに愛し合う教会」の誕生物語(12)新しい関係 森正行

コラムニスト : 森正行

新しい関係

互いに優劣を競い争い合ったキリストの弟子たちが「互いに愛し合う」関係を築くために、神は、イエス・キリストが十字架にかかられる受難の一週間と、その後のキリストの復活の期間を用い、彼らの関係性を劇的に変えていかれ、初代の教会が誕生していきました。

この度も、その軌跡を追っていきましょう。これは、今日、私たちの人間関係にも深く関わっていくことだからです。

前回の続きです。

赦(ゆる)し合うようになった弟子たちは、最初はイエスの愛を話すことや聞くことに夢中になっていたことでしょう。けれども、ふと気が付けば、自分たちの関係が今までとは違ってきていました。

それまで、互いに競い、裁き合った弟子たちでしたが、今ではお互いの弱さや愚かさ、痛みを正直に告白し、受け入れ合うようになっていました。最初に気付いたのは、そばにいた婦人たちかもしれません。

それまでは無かった温かさや安心感がありました。そして、かつてイエスが何度も語られたあの言葉が、今になって身近なものとなりました。

「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい」(ヨハネ13:34)

イエスは最初から、弟子たちの弱さや愚かさを知っておられ、認め、受け入れ、赦し、愛し続けていました。弟子たちも、それと同じ思い、同じ関係になり始めていたのです。

このことに気付いた瞬間、その喜びはとても大きかっただろうと思います。そして、宝石のように大切なものを手に入れたとも思ったのだろうと思います。

「アルコホーリクス・アノニマス」というアルコール中毒者の自助グループが全世界に展開しています。少人数のグループになり、お互いのアルコール依存を告白し支え合います。

そこでのガイドラインは
1. 他の人が話しをしているときに口をはさまないこと。
2. 互いに支え合うことに徹し、相手を「直してあげよう」としないこと。本人が助けを求めてもいないのに、おしきせのアドバイスをしないこと。
3. 守秘義務を守ること。
4. 攻撃的な言葉を慎むこと、などです。

このガイドラインによって、参加者は安心して自分の弱さを話すことができます。クリスチャンによって始められたこの運動は、今日多くの教会でも小グループによって活用され始めています。

【祈り】 神様、あなたのお言葉通りになりますように。

【関連聖書箇所】ヨハネの福音書13:34、35

あなたがたに新しい戒めを与えましょう。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。

もし互いの間に愛があるなら、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、すべての人が認めるのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

森正行

森正行

(もり・まさゆき)

1961年兵庫県西宮市出身。建設専門学校卒。不動産会社、構造建築事務所にて土木・建築構造設計部門を5年間勤務。1985年受洗。関西聖書神学校卒。岡山・岡南教会にて伝道師・副牧師3年間奉仕。1995年より現在、日本イエス・キリスト教団宮崎希望教会牧師。