2016年3月19日22時12分

神様からのメッセージ―聖書は偉大なラブレター(31)聖書を翻訳した人たち―点字聖書・手話聖書 浜島敏

コラムニスト : 浜島敏

点字聖書

目の不自由な人のために、点字の聖書ができています。点字はもともとフランスで発明されましたが、1890年に日本語の点字ができました。点字は、指先で触れて読むものですから、大きな字が必要です。また、触ってもなかなか形が変わらないように、画用紙のような厚い紙を使います。それでも、触っているうちにすり減って読みにくくなり、印刷した聖書のように長持ちをしません。

ですから、聖書はとても分厚くなってしまいます。新約聖書のマタイによる福音書だけでも、普通の印刷した聖書一冊分ぐらいの厚さになります。全部をそろえたら、ずいぶん何冊にもなってしまって、なかなか大変ですが、その分、とても安く手に入れることができるようになっています。

また、最近はテープなどが発達していますから、聖書を吹き込んだテープが売られています。これもとても役に立ちますが、自分でゆっくり読もうと思えばどうしても点字聖書が必要になってきます。

手話聖書

では、耳の不自由な人はどうしたらよいでしょうか。今、日本聖書協会では、手話を使ったビデオ聖書を作成しています。米国には、すでにそのような聖書があるようですが、日本では初めての試みです。

もちろん、耳の不自由な人の大部分は、字は読めますので、普通の聖書も読むことはできますが、普段は手話を使って話をしていますので、その方が身近に感じるのでしょう。ただ、これも制作は大変です。また、関東と関西とでは手話そのものも少し違っているようですから、苦労して作成しているようです。

こうして、みんなが同じように聖書が読めたり、見られたりするようになったらよいと思います。

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浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

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