東京都渋谷区は12日、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する新たな条例案を明らかにした。来月開催される区議会に提出し、可決されれば、4月1日から施行される。渋谷区によると、国内の自治体で初の制度となる。国内各紙が伝えた。
渋谷区が発表した報道資料によると、同区は2015年度の新規事業の一つとして、「男女平等及び多様性を尊重する社会の推進」事業を行う計画。この事業では、男女だけではなく、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)といった性的少数者の人権尊重や、そのための区や事業者の責務などを規定した新条例を制定し、同性カップルに対し、結婚に相当する関係であることを証明する「パートナーシップ証明」を行うという。
同区はこの事業について、事業者などの責務を条例で規定するだけではなく、「学校教育などの場において、性別による役割分担意識を変え、LGBTなど性的少数者に対する理解に取り組むなどの施策を積極的に推進する」としている。新条例は、「禁止事項、相談対応、公表規定を設けることにより施策の実効性を図っている」としており、報道によると、条例に違反した事業者名は公表するという。
日本の憲法では、婚姻について「両性の合意のみに基いて成立」(第24条)すると定めており、同性婚は認められていない。「パートナーシップ証明」は法律上の効力はないが、同区は、新条例により、区民や事業者らに、証明書を持つ同性カップルを夫婦同様に扱うよう求めていく。
共同通信などによると、「パートナーシップ証明」を受けるには、同区内に住む20歳以上の同性カップルで、必要がある場合双方が互いの後見人となる契約を交わしていることなどが条件となる。パートナーシップを解消した場合は、証明を取り消す仕組みもあるという。新条例は可決された場合、施行は4月1日だが、証明自体は2015年度内の開始を目指すという。
同区はこの他、区長の付属機関として男女平等・多様性社会推進会議を設置し、同事業の行動計画の策定や評価、意識の形成などを審議するほか、条例の施行などについて議論を行うとしている。
同区によると、同性カップルの関係を「パートナーシップ」として認定し、夫婦に準じる何らかの権利を認めている国は世界に25カ国あり、同性婚を認めている国は、2016年から同性婚を認めることになっているエストニアを含め、19カ国あるという。