さとうりょうこ   

1978年生まれ。埼玉県在住。2013年、友人の導きにより、日本ホーリネス教団久喜キリスト教会において信仰を持つ。現在、県内の障がい者施設で働きながら、加須市の東埼玉バプテスト教会に通い、2018年4月1日イースターに木田浩靖牧師のもとでバプテスマを受ける。フェイスブックページ「さとうりょうこ 祈りの部屋」。

記事一覧

(み使いダニエル)リカのものがたり

(み使いダニエル)アキラのものがたり

ブブブブブ・・・鈍く携帯電話の目覚ましが鳴りました。ここは大都会のそびえたつビルの中にある、ネットカフェの一室でした。黒い壁で仕切られた、一畳半にも満たないアキラの部屋です。

2020年07月02日20時00分

(み使いダニエル)リカのものがたり

(み使いダニエル)タエのものがたり

たくさんお金がありました。幼いころから、ゆとりのある暮らしからは縁がなかったタエにとって、それはとってもうれしいことでありました。今日はデパートで高級な生地をいくつも見比べ、蔦の刺繍の生地でカーテンを注文してきました。

2020年06月18日10時59分

(み使いダニエル)リカのものがたり

(み使いダニエル)コータのものがたり

「お前は向こうに行っていなさい」。そう言ってリビングから追い出されたのは、小学校5年生に上がったばかりのコータでした。コータはリビングのドアの前にしゃがみ込んで、両親がののしり合う声、父親が母親をぶつ耐えがたい音をじっと聞き続けておりました。

2020年06月04日21時13分

(み使いダニエル)リカのものがたり

(み使いダニエル)ユミのものがたり

ユミは隣に寝ている夫を起こさないように、そっとベッドから抜け出しました。音を立てずに寝室を出てキッチンに入ると、換気扇の下に置いてあるタバコに火をつけ、深く息を吐きました。

2020年05月21日23時03分

(み使いダニエル)リカのものがたり

(み使いダニエル)タイジのものがたり

タイジは底知れぬ闇の中に浮かんでいることに気が付きました。不思議です。闇の中だというのに、何も怖くありません。タイジは目を閉じていましたが、自分が闇の中にうずくまっていることに気付いていました。

2020年05月07日21時02分

(み使いダニエル)リカのものがたり

(み使いダニエル)リエのものがたり

先ほどから長いこと、泣き声が聞こえていました。それは冷たい壁の向こうの、隣の部屋からのようでした。リエは壁に頭をもたれて、歌を歌いました。隣の部屋の泣き声の主に聞かせてあげる子守歌のように。

2020年04月23日21時30分

(み使いダニエル)リカのものがたり

(み使いダニエル)シュンのものがたり

誰からも見向きもされないやつ。そんなふうに周りの人はシュンのことを思っていたことでしょう。シュンは素朴な風貌で、口数も少なく、人との交流も決して得意とはいえません。

2020年04月09日20時13分

(み使いダニエル)リカのものがたり

(み使いダニエル)リカのものがたり

青空にゆっくりと夕日が沈み、虹色の光が地平線に広がりました。羊雲が光を映してピンク色に輝きながら、ゆっくり空を流れてゆきます。あまりに美しいこの空をいったいどのような方がおつくりになったのでしょうか。

2020年03月26日18時14分

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(1)ま白い光

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(最終回)猫楽街からの手紙

「さようなら。またお会いできる日を楽しみにしています」。そう言ってマリヤは戸を閉めました。心は期待で満ちあふれておりました。「誰かの役に立てるのかもしれない」。そんな期待です。

2019年12月13日23時03分

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(1)ま白い光

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(6)ベールをはずして

マリヤは庭で採れたローズマリーを瓶に詰めて、新鮮な水を注いでおりました。心はまるで、蛇口から沸き出る新鮮な地下水のように、さわやかでありました。そして、ふと「自分は誰も憎んでいない」ことに気付きました。

2019年12月06日12時45分

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(1)ま白い光

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(5)猫楽街

その街のうわさを、サダ姉は以前から聞いていました。「その街は、神を信じる、現実逃避の愚か者たちが身を寄せ合って暮らしていて、一様に貧しく苦しんでいるのに一向に神の助けも来ないバカげた街」と。それが「猫楽街」のはずでした。

2019年11月29日19時00分

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(1)ま白い光

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(4)十字架の門

マリヤはうっすらとまぶたを開けました。すると、暗がりに包まれた部屋が、白い粒子がちりばめられたかのように光り輝いていたのです。見慣れたはずの小さな部屋は、まるで神様の幕屋の中であるように神聖な空気に満ちあふれていたのです。

2019年11月22日10時42分

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(1)ま白い光

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(3)光の道の始まり

「いいかい、聞きなさい。人は決して見た目なんかではないんだよ。美しさというものはその人の魂からあふれ出るものなんだからね」。今日までサダ姉をよく看てくれたおばあちゃんはそう言って、サダ姉の顔の包帯に手を掛けました。

2019年11月16日22時43分

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(1)ま白い光

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(2)私たちの武器

そのころ、マリヤは故郷の家のベッドの上に横たわっておりました。たった3日にすぎなかった背徳の街への旅でしたが、まだ心も体もくたくたで、起き上がることができずにいました。母親はマリヤを気遣い、白湯やそぼろ入りの白がゆを与えてくれました。

2019年11月08日23時44分

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(1)ま白い光

続・背徳の街のマリヤ~神の花嫁~(1)ま白い光

私が欲しいのは美しい心。人をねたまず、人を愛し、病んだ人や年老いた人の世話をする、花を愛するおとめの心、その潤った白桃色の唇からは、生きていることを喜ぶ歌が絶えることがない。そんなおとめになりたかった。

2019年11月01日17時55分

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~(最終回)真白い花嫁

「わが妻よ。どうか私を見ておくれ」。その頃・・・どうしたことでしょう。悪魔がしおらしくサダ姉に懇願しているのです。サダ姉は鏡台の前に座り、鏡をじっと見つめたままほうけた顔をしておりました。「妻・・・」。そう唇を動かし、かすかに笑いました。

2019年09月07日10時57分

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~(5)シロツメクサの冠

マリヤの心は茫然として、もはや大切なお父さんとの約束も守れないと思いました。・・・「3日で帰ってくる」と約束をして、祈りながら待っているお父さんとお母さん、愛する庭の、友達のような木々や花たちを思い出し、「ごめんね」とつぶやきました。

2019年08月30日18時57分

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~(4)取引

猫吊り通りの女主人の店は、店じまいを始めます。少年少女たちはいっせいに、店の片づけに駆り出されます。サダ姉は「しっかり働くんだよ。チリ一つ落ちていたらどんな目に合うか分かっているね」と言い捨てると、大あくびをして自分の部屋に戻りました。

2019年08月24日14時54分

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~(3)悪魔の花嫁

「いつまで寝ているんだい?怠け者め!」。そう声がしたかと思うと、アンナはわき腹を蹴られて目を覚ましました。見上げると、この店にもう20年も暮らしているサダ姉が目を吊り上げておりました。

2019年08月17日12時31分

背徳の街のマリヤ(1)暗く深い闇

続・背徳の街のマリヤ~悪魔の花嫁~(2)猫吊り通り

その晩、夕食の祈りの後でマリヤは手紙のことを父に話しました。そしていつかマリヤを助けてくれた少女、アンナに会いに行きたいと伝えました。父はしばらくうつむいて、送られてきたカードを何度も見るとため息をつきました。

2019年08月09日21時59分

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