2011年12月14日13時59分

神の粒子「ヒッグス粒子」発見か

 CERNのLHCCMS実験で得られたヒッグス粒子データの例(Lucas Taylor)。
 13日、欧州合同原子核研究所(CERN)は、「神の粒子」とも紹介されてきた質量の起源とされる「ヒッグス粒子」が存在する可能性が高まったことついて発表した。同日夜にはCERN研究グループに参加している日本の研究グループも東京大学で「ヒッグス粒子」の存在可能性について説明する記者会見を開いた。

 ヒッグス粒子の探索については、1964年にエディンバラ大学のピーター・ウェア・ヒッグスが理論物理学の分野で素粒子の質量獲得に関する理論仮説としてヒッグス場を提唱してから、長年にわたってヒッグス粒子の存在を確認する研究が続けられてきた。

 ヒッグス粒子が実際に存在することが判明すれば、なぜ物質は質量を有するのか、そこからひるがえって私たち自身の存在の理由について説明するのに大いに役立つことが期待される。

 物理学者らはスイスのジュネーブ郊外にあるCERNで大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を用いて宇宙誕生直後の物質の状態の再現を行ってきた。その衝突の中で「ヒッグス粒子」による衝突であると判断できる可能性のあるデータが確認されたという。

 正統派と言われる世の中の物理学者らは宇宙は神がサイコロを投げたかのように偶然できたという宇宙誕生の概念を持っている。一方、相対性理論を提唱したことで有名な物理学者アインシュタインは「宇宙が偶然できた」とは信じなかった。アインシュタインは「知性とは、方法や手段に対して鋭い鑑識眼を持っているが、目的や価値に対して盲目である」という名言を遺している。ヒッグス粒子が確認されることで現代物理学の基礎となる標準理論における大きな発見がなされることが期待されている。