2005年12月15日10時31分

平和キリスト者ネットが署名活動 自衛隊派遣中止求め

 日本キリスト教協議会(NCC)加盟諸教会らが加入する「平和を実現するキリスト者ネット」(事務局・東京・新宿区)は16日、自衛隊のイラク派遣中止を求める祈りの要請行動を首相官邸前で行う。同ネットはこの集いを毎月行っており、05年最後の運動に向けて公式サイト上で署名を呼びかけた。


 同ネットによると、これまで全国各地から寄せられた「自衛隊のイラク派兵の中止を求める」署名は3万8千通を超えた。(12月13日現在) 署名と要請行動は、イラクから自衛隊が撤退するまで続けるとしている。


 同ネットにはNCC加盟33団体、カトリック正義と平和協議会、日本福音同盟(JEA)社会委員会ら国内の主要キリスト教組織がほぼ全て加入している。


 一方、政府は8日午後の臨時閣議で、14日に期限を迎える自衛隊のイラク派遣を1年延長するため、イラク復興支援特別措置法に基づく新たな基本計画を決定した。延長期間は15日から来年12月14日まで。イラク派遣は昨年12月に続く再延長となる。


 小泉首相は派遣延長について、国連安保理による多国籍軍派遣の延長決議や、中東の安定と民主化におけるイラク民主化の重要性を強調している。


 イラクでは、イラク人が新憲法のもとで自ら政権を選ぶことになる国民議会選挙の投票が15日、行われる。03年3月に始まったイラク戦争と米国主導の占領統治を経て、イラク人が自ら政権を選ぶ、歴史的な選挙と評される。


 14日には首都バグダッドなどで選挙妨害の自爆テロを警戒し、イラク警察や多国籍軍による厳重な警戒態勢が敷かれた。


 アナン国連事務総長は14日、総選挙での投票をイラク国民に促す一方、選挙に悪影響を及ぼすいかなる行為も自制するよう呼び掛ける声明を発表した。 国内各紙が同日伝えた。


 事務総長は総選挙について「イラクの歴史の新たな1章となる」と強調。総選挙の結果にかかわらず、国連がイラクの民主化に向けて支援を継続する意向を示した。


 国連安全保障理事会によるイラク問題に関する公開協議で14日、ボルトン米国連大使は、シリアやイランがイラク国内のテロを支援していることを非難。米軍主体の多国籍軍による活動の障害になっているとして「こうした国々の活動を無力化」する必要性を訴えた。


 ブッシュ米大統領は12日、03年3月のイラク戦争開戦以降のイラク人民間人の死者数について「3万人に上る」と、初めて死者数に言及し、イラク人被害の大きさを認めた。米・イラク両国で増え続ける犠牲者数への批判が高まる中、イラク戦略への理解を求めたものとみられる。