2005年12月1日18時56分

韓国劇団・芸脈「悲しみの杯」日本初公演 東京・三百人劇場


 日韓国交正常化40周年を記念して、韓国の劇団「芸脈」による歴史ロマン悲劇「カウンターポイント-悲しみの杯-」の日本初講演が30日、東京文京区の三百人劇場(文京区本駒込2-29-10)で行われた。会場にはおよそ200人が詰め掛けた。日韓演劇交流「三・一の会」(伊藤勝昭代表)主催。後援には在日本韓国YMCAほか、東京YMCAも協力している。

 作品は、戯曲「その日、その日にこそ」で79年大韓民国演劇祭戯曲賞、東亜演劇賞を受賞したイ・バン氏の書き下ろし。演出は、86年のソウルアジア大会や88年のソウルオリンピックの演出を手がけたピョ・ジェスン氏。今年10月29日から11月20日までの40ステージにわたるソウル公演を終えての来日公演となった。

昭顕世子を演じるチョ・スンヨン氏=30日、東京・三百人劇場
 舞台は、朝鮮王朝16代仁祖の時代。仁祖は勢力を増す清の太宗(ホンタイジ)の前に降伏した。皇太子・昭顕世子は弟や大臣の息子ら300余名と共に人質として瀋陽に連行される。明が滅亡した1644年、荒廃した北京の街で、世子はドイツ人神父アダムシャールと出会い、入信する。西洋の新知識と9年間抱き続けた朝鮮の安寧と繁栄の実現を胸に、世子はその後朝鮮に帰国。しかし父仁祖と儒教精神が深く根付いた祖国との隔たりは余りにも大きかった。世子は父からの賜薬を手に、心静かに盃をあおぐ。

 歴史のなかに埋もれた朝鮮王朝16代仁祖の皇太子・昭顕世子の生き様にスポットを当てたこの叙事詩は、韓国の歴史や文化、またその背景にある日本や中国の歴史理解にも役立つ内容となっている。

 本紙の取材に対し、主催の「三・一の会」代表、伊藤勝昭氏は「これからも日韓の演劇交流を活性化させたい」と、日韓交流への更なる意欲を示した。

 日韓演劇交流「三・一の会」は1994年以来、李盤・作「東風」、「銃剣と処容の舞い」、「その日、その日にこそ」、高堂要・作「どんま」などのソウル、東京での交互公演を実現。日韓演劇の相互発展と文化交流の増進に貢献している。

 劇団「芸脈」代表であり、仁祖役を演じるイム・ドンジン氏は、2002年に国民勲章・王冠文化賞を受章。現在SBS大河史劇「王の女性」、MBS「第5共和国」を撮影している。

 公演は12月7日まで、三百人劇場で連日行われる。お申し込み・お問い合わせは公演事務局(03-5281-8066)まで。