【CJC=東京】キリスト教団体『アガペ基金』が、韓国で最初の民営刑務所『希望』をソウル郊外ヨジュに12月1日開設した。最初の収容者は30人。同基金のキム・サムファン議長は、同刑務所の狙いの一つは再犯率を3%にまで低下させることにある、と言う。
韓国政府法務省は、「民間部門の参画は、刑務所運営の効率化に貢献する」と新聞発表で指摘した。
韓国のプロテスタント教会は1995年依頼、私営刑務所制度の創設を議会筋に働き掛けてきた。国会は創設案を1999年通過させている。
キム氏は、私営刑務所を成功させる鍵は、収容者を更生させるためのプログラムを充実させること、と言う。
『希望刑務所』では、収容者にボランテア600人による個人的なコンサルテーション、聖書研究に基づくヒーリング(癒し)、被害者との間の和解、音楽や芸術によるセラピーなどを実施する。
改宗を強要するのでは、との懸念に関し、キム氏は刑務所を「プロテスタントの数を増やすためだけに」設立したのではない、と言う。刑務所は様々なプログラムによって更生したいという受刑者だけを受け入れるので、「宗教的自由の問題はない」と強調している。
『希望刑務所』は360人まで収容可能。前科2犯未満で、禁固7年以下の20歳から60歳までの男子受刑者を収容する。麻薬、公安関係、組織暴力関係の犯罪者は収容しない。
敷地21ヘクタールに十字架型6階の刑務所建設費用は288億ウォン(約21億円)。韓国政府は公営刑務所運営費の9割相当分を支出することになっており、運営を1民間団体に委ねることへの懸念も強い。法務省は、批判を避けるため係官4人を派遣するという。
また施設が充実していることは、収容者の待遇に平等さを欠くことになる、との議論もある。
宗教団体が運営する刑務所は米国やブラジルにあり、いずれも公営施設では犯罪者を収容しきれていない。