2010年1月8日18時34分

新たな国立追悼施設に反対 NCC靖国問題委が声明

新たな国立追悼施設の候補地として、日中戦争から第二次世界大戦で戦没した軍人・軍属約35万人の遺骨が眠る「千鳥ケ淵戦没者墓苑」の敷地拡充が検討されている。写真は六角堂(納骨堂)。奥には古代豪族の寝棺を模した陶棺が据えられている。

 靖国神社に代わる戦没者のための新たな国立追悼施設について、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会(辻子実委員長)は5日、建設の反対を訴える声明を同ホームページ上に公開した。これは、鳩山由紀夫首相が同施設の建設に前向きな姿勢を示していることを受けて、同委員会が昨年12月7日付で首相あてに送付していたもの。



 声明は、民主党の構想する同施設の特徴について(1)特定の宗教性を持たない、(2)A級戦犯が祀られていない、すなわち誰にでも追悼できる、(3)靖国神社にかわる施設であると確認したうえで、「しかし、敗戦に至るまでの靖国神社の役割、また戦後において靖国神社の果たしている役割を考えれば、私たちは、新たな国立追悼施設の設置に反対せざるを得ません」と主張している。



 その理由として、「本来『無宗教』の施設であっても国家(政治)によって、宗教的性格を持ったものに変質させられることが予想される」とし、同施設が「いつでも容易に『第二の靖国』となり、新たな戦争に国民を動員する役割を果たす」と指摘。また、国家と宗教が一体となった敗戦までの靖国神社の担った役割、憲法の政教分離原則に触れ、「国家が『個人の生死を意味づけ』するようなことはしてはならない」と批判している。



 さらに、同施設が国のための死を推し進める新たな装置になるのではないかという立場を「これからの戦争を仮定した論」と否定したうえで、「日本は、外交によって平和を構築することに力を尽くすべき」と主張している。