2009年12月3日14時56分

【一生一句】 「赤ちゃんポスト」何を守るのか

 親の事情で育てられなくなった乳幼児を匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」。米テキサス州では通称「赤ちゃんモーセ法」と呼ばれ、病院、消防署など公共施設以外に、認可を受けた個人宅も指定保護施設としている。



 モーセは、ヤコブの子孫アムラムと妻ヨケベドの間に生まれた。迫害から我が子の命を守ろうと、ヨケベドは我が子をパピルスの籠(かご)に隠してナイル川に流した。ファラオの王女がその籠を拾い、赤ん坊をモーセと名づけて王宮で育てることにした。モーセは、乳母となったヨケベドに育てられ、成人後はイスラエルの民をエジプトから解放する指導者となった。



 日本で「赤ちゃんポスト」に代わる通称は必ず保護される側の視点に立ったものにしてほしい。親が保護責任を投げ出してはいけないが、何の責任もない子どもの健全な成長と未来への希望を守るきめ細かな体制作りは国家義務である。



 「この子を愛してくれる人のもとで育ってほしい」とは、我が子を預ける親共通の願いだろう。苦悩する親と家族の精神的な支援をキリスト教会が何とか提供できないものか。



 聖書と教会は愛と安らぎの流れるナイル川、パピルスの籠。赤ちゃんモーセとヨケベドを諸王の王キリストの御もとに導く避け所である。