
サハラ砂漠の西端に位置するイスラム共和国がモーリタニアだ。今年の「ワールド・ウォッチ・リスト」で同国は、前年から2ランク上昇して21位となった。
モーリタニアでは、キリストに従うことが文字通り「命懸けの選択」を意味する。イスラム教徒は、人口のほぼ100パーセントとなっており、改宗は国家への反逆と見なされる。政府は2018年に厳格な背教法を施行し、イスラム教を離れた者や冒瀆(ぼうとく)罪を犯した者に対しては「死刑」を義務付けている。
たとえ悔い改めたとしても減刑されることはない。現在までに実際の処刑は行われていないものの、この法律の存在自体が信者たちに深い恐怖と沈黙を強いている。
外国生まれのキリスト教徒は、特定の場所でのみ礼拝が許されている。彼らであっても公に信仰を分かち合うことは厳しく禁じられており、少しでも伝道と見なされれば即座に投獄や国外追放の対象となる。
このような極度の監視社会において最も脆弱(ぜいじゃく)な立場にあるのは、イスラム教からキリスト教に改宗した生来のモーリタニア人信者(MBB)たちである。この傾向は、厳格なイスラム教諸国全般に言える特徴だ。
特に地方の遊牧民社会において、一族や共同体との結び付きは生存そのものに直結する。もし信仰が発覚すれば、彼らは家族から激しい迫害を受け、一族のつながりを全て断ち切られる。
砂漠の過酷な環境において、一族からの追放は「社会的な死」、ひいては現実の死を意味しかねない。実際に近年、ある信者の洗礼の様子を映した動画がネット上に流出したことで、キリスト教徒たちに対する社会的な反発が激化し、さらにはイスラム教から改宗した信者の遺体が墓から掘り返されるという痛ましい事件まで報告されている。
モーリタニアの土着の信者たちは、自らの信仰を隠し、誰にも知られないように、孤独の中で信仰生活を守ることを余儀なくされているのである。
聖書は言う。
わたしは荒野に道を、荒れ地に川を設ける。(イザヤ43:19)
彼らがどれほど重い圧力にさらされていても、砂漠にまかれた福音の種が枯れることは決してない。
「私は恐怖と不安に圧倒され、人生に意味を見いだせませんでした。しかし、イエス・キリストに人生を委ねたとき、本当の喜びと平安を味わったのです」。北アフリカ出身のある女性信者のこの証しは、死の恐怖さえも乗り越えるキリストへの信仰の圧倒的な力を示している。
モーリタニアの隠れた兄弟姉妹のために祈ろう。地下でひそかに信仰を守る彼らに、孤独を慰める聖霊の臨在が豊かに注がれ、安全に交わることのできるキリストの共同体が与えられるように。
彼らを苦しめる厳格な背教法が覆され、信教の自由が確立されるように。そして、激しい迫害と社会からの拒絶の恐怖に直面している信者たちが、神の力強い守りの中で養われ、この広大な砂漠の国にキリストの永遠の希望をもたらすことができるよう、祈っていただきたい。
■ モーリタニアの宗教人口
イスラム 99・7%
カトリック 0・14%
プロテスタント 0・08%
英国教会 0・03%
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