2026年7月22日20時05分

WCC代表団がウクライナ訪問、教会指導者や政府高官と会談 戦時下の連帯示す

WCC代表団がウクライナ訪問、教会指導者や政府高官と会談 戦時下の連帯示す
世界教会協議会(WCC)の代表団とウクライナ教会・宗教団体協議会(UCCRO)の代表者ら(写真:ウクライナ正教会=OCU / アンドリー・シドル)

世界教会協議会(WCC)の代表団が14日から17日にかけ、ロシアによる侵攻が続くウクライナを訪問した。代表団は現地の教会指導者や政府高官らと面会し、戦争の終結を共に祈った。訪問は、ウクライナ教会・宗教団体協議会(UCCRO)の設立30周年に合わせて行われた。

WCCの発表(英語)によると、代表団には、ジェリー・ピレイ総幹事のほか、ハインリヒ・ベドフォードストローム中央委員会議長、中央委員で執行委員のカリン・ファンデンブルーケ牧師、中央委員で国際問題教会委員会(CCIA)の委員でもあるギリシャ正教会のガブリエル府主教、マリアンネ・エイダーステン広報部長が加わった。また、欧州教会会議(CEC)のフランクディーター・フィッシュバッハ総幹事も同行した。

UCCROは、正教会やカトリック、プロテスタントに加え、ユダヤ教やイスラム教の団体も加盟する組織で、ウクライナの宗教団体の9割以上を代表する。議長は現在、非モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会(OCU)の首座主教であるエピファニー府主教が務めている。

設立30周年記念式典(英語)は16日に首都キーウで開かれ、宗教関係者や外交官ら数百人が出席した。ピレイ氏は祝辞を述べ、UCCROの一致が「信頼に足る声を発信し、惜しみなく奉仕し、希望そのものが試されたときにも希望を支えることを可能にしてきた」とたたえた。

WCC代表団がウクライナ訪問、教会指導者や政府高官と会談 戦時下の連帯示す
UCCROの設立30周年記念式典で祝辞を述べるWCCのジェリー・ピレイ総幹事(写真:同上)

フィッシュバッハ氏も祝辞を述べ、4年以上に及ぶ戦争の苦しみに今も耐える人々に祈りの言葉を寄せた。その上で、UCCROの一致と協働について、「レジリエンスと忍耐、そして希望のしるしであり、それはウクライナのためだけでなく、その国境を越えた地域にとってもです」と語った。

代表団は、オレナ・コバリスカ大統領府副長官や、ビクトル・イェレンスキー国家民族政策・良心の自由庁長官ら政府高官とも会談。戦時下の情勢や和平への取り組み、信教の自由、国家と教会の関係などについて意見を交わした。

ピレイ氏は会談(英語)について、率直で開かれた対話ができたと評価した上で、「WCCは今後も戦争に反対し、平和のための対話を求め続けます」と表明。「暴力は解決をもたらさず、罪のない人々に痛みとトラウマ、苦しみをもたらすだけです」と語った。

コバリスカ氏は訪問の意義を評価し、一致や平和、和解、正義の分野で長年支援を続けてきたWCCに謝意を示した。一方で、ロシアが和平に応じる兆候は見られないとし、領土の割譲はいかなる形でも検討していないと強調。冬を前にした大規模な空爆の影響にも言及した。

WCC代表団がウクライナ訪問、教会指導者や政府高官と会談 戦時下の連帯示す
ウクライナの政府高官らと会談するWCCの代表団(写真:WCC / マリアンネ・エイダーステン)

イェレンスキー氏は、ウクライナの宗教的多元性の独自性を強調。ロシアの攻撃により800以上の教会施設が損壊したり、破壊されたりしたとし、80人以上の聖職者が殺害されたと述べた。

ロシアとつながりのある宗教団体を規制する法律も議題となったが、イェレンスキー氏は、1991年の独立以来、ウクライナで宗教団体が禁止されたことは一度もないと強調。同法の対象は、あくまでもウクライナに対する戦争を支持するロシア正教会のみだと説明した。

同法は、ロシア正教会のモスクワ総主教庁を母体とするウクライナ正教会(UOC)を念頭に置いたものとされ、2024年に成立したが、信教の自由の観点から懸念も指摘されている(関連記事:ウクライナでロシア系正教会を禁止する法律成立 現地教会組織は支持、ローマ教皇は懸念)。

ピレイ氏によると、代表団は今回の訪問でOCUとUOC双方と協議し、国家と教会の関係や同法の影響についても話し合った。また、UCCROとしては、同法が信教の自由を脅かすものではないと認識していることを確認したとしている。

ピレイ氏は訪問を振り返り、「再びウクライナを訪問できたことは、深く心を動かされる経験でした」と述べ、現地の人々が持つたくましさと希望に励まされたと語った。

ベドフォードストローム氏は、教会や宗教団体が協力して人々に慰めと力を与えていることの重要性を指摘。「私たちはこの『実存的エキュメニズム』を、エキュメニカル運動全体への刺激的な原動力として持ち帰ります」と述べ、ウクライナへの連帯の必要性を語った。