2026年7月18日20時37分

ワールドミッションレポート(7月18日):エチオピア 傷ついたティグレの地─飢餓とがれきの中での平和への祈り

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(7月18日):エチオピア 傷ついたティグレの地─飢餓とがれきの中での平和への祈り
エチオピアのティグレ州メケレで、難民キャンプとなった学校に逃れた人々=2021年(写真:Yan Boechat / VOA)

エチオピア北部のティグレ州は、豊かな歴史と文化を持つが、近年、世界で最も凄惨で破壊的な紛争の一つを経験した。2020年から約2年にわたって続いたティグレ紛争は、何十万人もの命を奪い、数百万人を住み慣れた家から追放し、難民キャンプへと追いやった。

現在、大規模な戦闘は公式には停戦状態にあるものの、ティグレの人々が直面している悲劇は決して終わっていない。地域のインフラは徹底的に破壊され、病院や学校は機能不全に陥った。農地は荒れ果て、さらに恐ろしいことに、気候変動による度重なる干ばつと紛争の後遺症が重なり、現在もこの地域全体が極度の食糧危機と飢餓の脅威にさらされ続けている。

生き残った人々、特に女性や子どもたちの心には、言葉では表現し切れないほどの深いトラウマ(心的外傷)が刻み込まれている。紛争下で行われた非人道的な暴力、家族との離別、そして略奪の記憶は、彼らの心から平和と希望を根こそぎ奪い去った。

ティグレの大部分の人々は伝統的にエチオピア正教会の敬虔な信者だ。また少数のイスラム教徒たちも隣人として共に暮らしてきた。しかし、この深い悲しみと絶望の中で、彼らは今、人間の力や物資だけでは決して癒やすことのできない「霊的な渇き」を痛切に経験している。

このような絶望的な状況のただ中で、現地のキリスト教会は、自らも深く傷つきながら、キリストの心と手足を体現するような使命に召されている。食糧や医薬品が圧倒的に不足する中で、わずかな手持ちのパンを分かち合い、全てを失った人々に寄り添い、共に涙を流す。このような働きが、がれきの山から希望を再建するための第一歩となっている。

キリストの福音は、死後の救いだけでなく、今そこにある悲しみを慰め、分断された民族間の深い憎しみを「赦(ゆる)しと和解」へと導く力を持っている。

主は心の打ち砕かれた者の近くにおられ、霊の砕かれた者を救われる。(詩篇34:18)

人間の目にはどれほど絶望的に見えても、神はこのティグレの地を決して見捨ててはおられない。

エチオピア北部ティグレ州の人々のために祈ろう。長引く飢餓と物資不足に苦しむ人々に、日々の糧や必要が速やかに届けられるように。凄惨な暴力によって深いトラウマを抱えた人々の心に、キリストの愛が完全な癒やしをもたらすように。

エチオピア全土を覆う民族間の深い憎しみと分断の壁が打ち砕かれ、キリストによる平和と和解がもたらされるように。そして、極限の苦しみの中にある現地の教会が、暗闇の中で希望の光として、ティグレの人々に福音を届けることができるよう、祈っていただきたい。

■ エチオピアの宗教人口
プロテスタント 19・2%
正教会 39・5%
カトリック 0・7%
イスラム 34・1%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。