
多数のキリスト教団体や反中絶団体などを「反人権的」とする報告書を公表し、その後批判を受け削除した国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」の英国支部は13日、報告書は適切な内部審査を経たものではなかったとして、「遺憾」を表明した。
報告書は8日にアムネスティ英国のウェブサイトで公表されたが、『ハリー・ポッター』シリーズの原作者であるJ・K・ローリング氏ら著名人を含む多くの人々から批判され、大きな反発を招いたことを受け、10日に削除された。
アムネスティ英国はその際、内部調査を実施するため、報告書を一時的に取り下げたとしていた。しかし、13日の声明では、公表前に適切な内部審査が行われていなかったとし、次のように述べた。
「この報告書が、一貫性や正確性、そしてアムネスティ英国の立場との整合性を確保するために定められた、確立された内部審査プロセスを経ることなくウェブサイトに掲載されたことに遺憾を表明します」
「報告書における言葉遣いはアムネスティ英国の立場を反映するものではなく、それが迅速に削除された理由です。私たちは、女性の権利とトランスジェンダーの人々の権利の両方を含む、人権擁護に引き続き尽力しています。人権保護は、全ての人に平等に適用されるときに最も強力なものとなり、いかなるコミュニティーも不当な扱いや尊厳と権利の否定の対象とされるべきではありません」
報告書は、英国が「反人権運動」による「高まる脅威」に直面しており、その運動は「道徳的パニックを助長」し、特に女性や性的少数派の人々のための「人権保護を後退させる」ために活動していると主張していた。
その上で、この「反人権運動」を形成しているとする団体をリストにまとめ、英国の慈善団体を管轄するチャリティー委員会に対し、これらの団体の慈善団体としての地位を見直すよう求めていた。
アムネスティ英国がまとめたリストには、英国福音同盟やイングランド・ウェールズ・カトリック司教協議会、クリスチャン・インスティテュート、クリスチャンコンサーン、CAREなどの英国のキリスト教団体のほか、世界初のプロライフ(反中絶)団体とされる未出生児保護協会(SPUC)など、計117団体が挙げられていた。
これらの団体は「反人権的」とされたことに反発し、アムネスティ英国がそのルーツから乖離(かいり)していることへの遺憾を表明した。現在、世界150以上の国・地域で活動するアムネスティは、カトリックに改宗したユダヤ系英国人弁護士のピーター・ベネンソンが、宗教的・政治的な信条のために拘束されている「良心の囚人」の代弁者となるべく設立した経緯がある。
クリスチャン・インスティテュートのキアラン・ケリー事務局長は、次のように述べた。
「アムネスティは、良心の囚人を守るというその原点から大きくかけ離れてしまいました。今や彼らは、人権に対して『都合の良いものだけを選ぶ』ようなアプローチを採っています。悲劇的なことに、ここには、胎児の生存権や売春によって搾取されている女性の権利、また良心の自由や言論の自由に関する権利は含まれていないのです」
反中絶活動家のフルール・メストン氏は、次のように述べた。
「良心の囚人を守るために敬虔なキリスト教徒によって設立されたアムネスティが、『間違った』良心を持つ人々を『反人権的』と決め付けているのを見るのは、実に悲しいことです」
「創設者のピーター・ベネンソンは、思想、良心、宗教、表現の自由を核としてアムネスティを築き上げました。今日のアムネスティは、中絶や生物学的な性に基づく権利に関する意見の相違、さらにはキリスト教の教えを信じることさえも、まるで人類への脅威であるかのように扱っています」
「生物学的な性が重要だということは、反人権的ではありません。胎児を守るためのキャンペーンを行うことも、反人権的ではありません。実際、こうした信念を持つ私たちは、女性や赤ちゃんにも人権があることを求めているだけなのです」
「アムネスティは、世界中で真の危険にさらされている人々を助ける代わりに、こうした報告書を作成して時間を無駄にすることができますが、合法的で穏健な団体を『反人権的』と中傷することは、アムネスティの創設の使命に全く値しません」
アムネスティ英国は、ローリング氏が設立した女性の性暴力被害者のための支援サービス「ベイラズプレイス」をリストに含めたことについて、特に強い批判を浴びた。
リストにはこの他、昨年4月に女性の法的定義は生物学的な性に基づくとする英最高裁の判決を勝ち取った女性の権利擁護団体「フォー・ウィメン・スコットランド」も含まれていた。