2026年7月7日17時27分

中国有数の「家の教会」創設者が釈放、米国で家族と再会

錫安教会/シオン教会/金明日
錫安(シオン)教会の金明日(ジン・ミンリ)主任牧師(写真:同教会のX〔旧ツイッター〕より)

「家の教会」と呼ばれる中国の政府非公認教会としては最大規模の一つとされる「錫安(シオン)教会」の創設者、金明日(ジン・ミンリ)主任牧師(57)が釈放され、4日に米ロサンゼルスに到着した。在米対中人権支援団体「チャイナエイド」(中国語)が5日、明らかにした。約9カ月に及ぶ勾留からの解放で、出国禁止措置により長年会えなかった米国在住の家族とも8年ぶりの再会を果たした。

金氏の釈放を巡っては、米国のドナルド・トランプ大統領が5月に訪中した際、中国の習近平国家主席との会談で提起したとされる。トランプ氏は会談後、帰国便の中で記者団に対し、「習氏は牧師(金氏)の釈放をとても真剣に検討していると思う」と述べ、前向きな反応を示したことをうかがわせていた(関連記事:トランプ氏、拘束中の牧師の釈放を習氏が「真剣に検討」 香港紙創業者は「難しい」)。

チャイナエイドによると、3日に拘置所から連れ出された当初、金氏は別の拘置所などへ移送されるものだと考えていたが、空港に到着した際に初めて米国へ渡航することを知らされ、新しいパスポートを渡されたという。金氏を空港まで護送した中国の当局者は、両国の首脳会談を受けて成立した人道的取り決めによるものだと説明。4日は米国の建国250周年を記念する独立記念日であることから、その日に合わせた釈放は、中国側の「外交的善意」の表明と見ることができるとチャイナエイドは伝えている。

チャイナエイドが家族の話として伝えたところによると、金氏は勾留中に体重が約15キロ減り、拘束前に比べると明らかにやせ、白髪も増えるなどしていたが、精神状態は良好だという。

娘の金婷雅(ジン・ティンヤ)さんは米CNN(英語)に対し、「私たちは喜びで胸がいっぱいです。この素晴らしい奇跡を神に感謝します」とコメント。また、習氏による直接の関与がなければ釈放は実現しなかっただろうと述べ、トランプ氏のリーダーシップにも謝意を示した。

金氏は朝鮮族出身の1969年生まれで、北京大学卒業後、米フラー神学校で牧会学博士号を取得。2007年に北京で錫安教会を創設した。同教会は一時、信徒数が1500人を超え、家の教会としては北京最大規模に成長。しかし、礼拝堂への監視カメラ設置を拒否したことなどから、18年に当局の取り締まりに遭い、閉鎖に追い込まれた。

金氏は出国を禁じられ、米国在住の家族と離れたまま中国内で牧会を継続。同教会は閉鎖後も、オンライン礼拝への移行が後押しとなり、全国規模のネットワークを持つようになった。しかし、金氏は昨年10月、広西チワン族自治区の自宅で拘束され、同11月に「情報ネットワークの違法使用」の容疑で、同教会の他の指導者ら17人と共に正式に逮捕された。起訴され有罪となれば、最長で3年の拘禁刑が科される可能性があった。

金氏と共に逮捕された17人のうち9人は6月に保釈されたが、現在も牧師6人を含む8人が「詐欺罪」や「違法なビジネス活動の罪」に罪名を変更されるなどしながら、勾留されている。チャイナエイドの創設者で会長の傅希秋(ボブ・フー)氏は、金氏の釈放を国際的な働きかけと祈りの実りと評価しつつ、残る8人全員の釈放に向けた働きかけと祈りの継続を呼びかけている。