
西アフリカの内陸国ニジェール。オープンドアーズの「ワールド・ウォッチ・リスト」で26位(前年から2ランク上昇)に位置するこの国は今、国家としての枠組みそのものが激しく軋んでいる。2023年7月に発生した軍事クーデターは、ただでさえ脆弱(ぜいじゃく)だった国家をさらなる政情不安定の渦中へと突き落とした。
この政治的混乱と法の支配の崩壊を最大の好機と捉えたのが、「イスラム国」(IS)や「アルカイダ」に忠誠を誓うイスラム過激派の武装勢力である。現在、ニジェールは宗教的マイノリティーにとって、特にサヘル地域において、最も過酷で危険な環境の一つへと変貌してしまったのだ。
マリやブルキナファソと接する国境は出入りが容易だ。それに乗じた過激派は、国境を越えて容易にニジェール領内へと浸透し、勢力圏を拡大し続けている。彼らが支配する地域では、国家の法ではなく厳格なイスラム法(シャリア)が強制される。キリスト教会は無残に破壊され、信者たちが容赦なく殺害されている。
何千人ものキリスト者が家や財産を奪われ、暴力の脅威から逃れるために難民となることを余儀なくされている。特に農村部に住む信者たちや、イスラム教からキリスト教へ改宗した者(MBB)が直面する危機は、筆舌に尽くしがたい。改宗者たちは、過激派による誘拐や死の脅威だけでなく、自分たちの家族や地域社会からの激しい敵意と圧力にもさらされている。
そのため彼らは文字通り「地下」で息を潜めて礼拝をささげているのだ。さらに恐ろしいのは、過激派が直接支配していない地域であっても、過激なイスラム思想が社会全体にまん延し始めていることである。
このような絶望的な状況の中で、ニジェールの信者たちはどのように信仰を保っているのだろう。
聖書は言う。
私たちは、生きるとすれば主のために生き、死ぬとすれば主のために死にます。ですから、生きるにしても、死ぬにしても、私たちは主のものです。(ローマ14:8)
過激派の暴力が吹き荒れる地域に住むハクリという名の一人の未亡人は、その計り知れない苦難の中でこう証しする。「神が私を見捨てたのだとは決して言いません。絶対にそんなことはありません。しかし、これだけは言えます。私は今、イエスに従うための『代価(代償)』を支払っているのです、と」
全てを失い、死の恐怖に直面しながらも、なおキリストへの忠誠を貫き通そうとする彼女の言葉は、安価な恵みに慣れ切った先進諸国の信者には想像もつかないものだ。迫害の現場における生々しくも、気高い信仰の告白である。
ニジェールの兄弟姉妹のために祈ろう。軍事政権下で法の支配が失われ、過激派の暴力にさらされている農村部の信者たちの上に、神の守りと慰めが豊かに注がれるように。家を焼かれ、難民として避難生活を送っている何千もの兄弟姉妹に、日々の糧と必要が備えられるように。
ハクリのような未亡人や、家族から迫害されている改宗者たちが、深い孤独の中で共に歩んでくださるキリストの確かな臨在を体験できるように。そして、この国を覆う憎しみと暴力の連鎖が断ち切られ、軍事政権が速やかに公正な統治と選挙への道を開き、ニジェールに平和と安定がもたらされるよう、祈っていただきたい。
■ ニジェールの宗教人口
イスラム 97・1%
プロテスタント 0・2%
カトリック 0・1%
土着宗教 2・5%
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