2026年7月2日21時14分

ワールドミッションレポート(7月2日):タジキスタン 監視国家と奪われる次世代─迫害者に向けられた赦しの祈り

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(4月18日):タジキスタン 迷信と過激派の狭間で揺れる中央アジアの山岳国
タジキスタンの首都ドゥシャンベ(写真:VargaA / CC BY-SA 4.0)

中央アジアで最も高いイスラム教徒の人口比率を誇りながら、その実態はエモマリ・ラフモン大統領による世俗的な独裁国家がタジキスタンだ。今年の「ワールド・ウォッチ・リスト」において、前年から一気に12も順位を上げ、27位へと急浮上した。

この国では今、全ての宗教に対する国家の監視と締め付けが強化されている。特に、活発に福音を分かち合おうとするプロテスタント(バプテスト、ペンテコステなどの福音派)の信者たちは、国家の安定を脅かす「危険な逸脱セクト」というレッテルを貼られ、徹底的な弾圧の標的となっている。

2015年以降、「無認可」とされた集会への警察の急襲は激増している。信者たちは日常的に厳しい尋問を受け、重い罰金を科され、聖書などのキリスト教文書は容赦なく没収されている。しかし、現在タジキスタンの教会が直面している最も深刻な危機は、「次世代への信仰の継承」が法律によって完全に封じられようとしていることだ。

この国では、18歳未満の子どもが関わるいかなる宗教的活動も厳しく禁じられている。さらに最近の法改正によって、家庭内やオンラインでの「プライベートな宗教教育」までもが犯罪と見なされるようになった。

タジキスタンの教会の約半数は若者や子どもたちで構成されているとされており、この法律はまさに教会の未来の芽を摘むための、周到な包囲網なのである。さらに、わずか約3千人と推測されるイスラム教からの改宗者たちは、国家からの監視だけでなく、家族や地域社会の民族的アイデンティティーを「裏切った」として、身近な者たちからの激しい報復や暴力の危険に常にさらされている。

しかし、このような重圧と恐怖のただ中にあっても、キリストの愛は決して人間の暴力に屈することはない。中央アジアで奉仕するロマン牧師(仮名)は、自分を殺害しようと銃口を向けた迫害者たちに対し、死の危機にあってこう語りかけた。

「あなた方が私を撃とうとしている事実を、まず赦(ゆる)したいと思います。そして知ってください。神はあなた方をとても愛しておられます。何があろうと、神の愛はあなた方と共にあります」

この無条件の愛と赦しの祈りは、彼を殺そうとしていた者たちのかたくなな心を砕いた。敵意が溶かされるという驚くべき奇跡だ。どれほど強固な国家の監視網や暴力の脅威にあっても、真理のために死を覚悟した純粋な愛の光を消し去ることは、決してできないのである。

タジキスタンの兄弟姉妹のために祈ろう。警察の急襲や監視の恐怖の中で密かに集まっている指導者たちの上に、神の絶大な守りと霊的な識別力が豊かに注がれるように。厳しい法律によって信仰を学ぶ機会を奪われている子どもたちや若者たちが、聖霊の直接的な教えと導きによって力強く成長し、次世代の希望の光として立ち上がるように。

家族からの激しい迫害の危機にある改宗者たちが、深い慰めを体験できるように。そして、タジキスタンから祖国へ強制送還の危機に怯え、未知の恐怖に直面しているアフガニスタン難民の信者たちを、主の力強い御手が完全な安全のもとにかくまってくださるよう、祈っていただきたい。

■ タジキスタンの宗教人口
イスラム 93・9%
プロテスタント 0・1%
カトリック 0・01%
無神論者 5・0%
正教会関係 0・9%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。