2026年6月23日22時30分

ワールドミッションレポート(6月23日):東アフリカ 迫害国家への「逆流」─帰国者とアフリカ人宣教師③

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(6月23日):東アフリカ 迫害国家への「逆流」─帰国者とアフリカ人宣教師③
中国・北京の紫禁城(写真:Pixelflake / CC BY-SA 3.0)

アフリカでキリストに出会った中国人労働者たちが本国へと帰還し、厳しい宗教弾圧下にある中国国内に福音を「逆流」させている。恐れを知らないアフリカ人移住者の大胆な伝道も加わり、監視国家の壁に福音の穴が開き始めているのだ。(第1回から読む)

アフリカから押し寄せる予測不能な福音の逆流は、現在、中国共産党(CCP)にとって極めて厄介な頭痛の種となっている。CCPは圧倒的な国家権力を持ちながらも、キリスト教の爆発的な成長を完全に抑え込むという戦略においては、事実上敗北しつつある。

現在の中国には、約9千万人の共産党員に対して、キリスト信者は1億人以上と推測されている。その数は世界最大のキリスト教大国になる勢いで増加し続けているのである。

自身の存続を至上命題とするCCPにとって、この巨大なイデオロギー的脅威に対抗するためには、単なる弾圧とは異なる歴史的な妥協案を選択する可能性があると専門家は指摘している。その妥協案というのが、すなわち「地政学的な逆説」だ。

つまり、彼らが取り得る現実的な選択肢の一つは、熱心に伝道したがる福音派の信者たちを国内で弾圧し続ける代わりに、彼らがアフリカなどの海外へ「出ていく(輸出される)」ことを密かに黙認することだ。

それは一路一体構想を推し進めたいCCPにとっても理にかなっている。キリスト者となった中国人ビジネスマンや労働者たちがアフリカ教会の地元ネットワークに深く浸透することは、経済的・社会的な結び付きを強化する上で強力な「社会的資本」となるのだ。

キリスト教という共通の言語が、アフリカの現地コミュニティーから向けられる不信感を和らげ、経済活動の潤滑油として機能する事実を、現実主義的なCCPは見逃してはいない。

迫害を逃れて自由に神を礼拝し、福音を伝えたいと願う中国の信者たち。そして、何としてもアフリカでの経済圏と権益および影響力を拡大したいCCP。両者の思惑が奇妙に一致するこの「戦略的互恵関係」の構造は、宣教の歴史において極めてアイロニカル(皮肉)な展開を生み出そうとしている。

聖書は言う。

神は、一人の人からあらゆる民を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、住まいの境をお定めになりました。それは、神を求めさせるためです。(使徒17:26、27)

国家は自らの利益のためにキリスト教を利用しているつもりかもしれないが、結果として、神の国が人間の政治的野心や経済戦略というレールを利用して、地の果てまで力強く拡大していくという、息をのむような神の主権と摂理的計画の現れとなっているのである。

かつて英国の迫害を逃れた清教徒(ピューリタン)たちが新大陸へと渡り、そこから世界宣教の礎を築いたように、現代の中国のクリスチャンたちもまた、迫害と監視の重圧の中から押し出されるようにして世界へと散らばり、福音が届いていない荒野に、命の水を運んでいるのである。

アフリカと中国を舞台に繰り広げられる、この壮大な神の計画のために祈ろう。アフリカの地で孤独に耐えながら働く数十万の中国人労働者たちが現地の教会の愛に触れ、生けるキリストに出会うことができるように。

アフリカで救われ、過酷な監視社会である祖国に帰還した兄弟姉妹たちが、決して恐れることなく、家庭や職場で力強く福音を証しすることができるように。そして、人間の政治的な野心や国家の思惑さえも超えて、全ての魂をご自身に引き寄せる全能の神の御手が、中国、アフリカ、そして全世界に大いなるリバイバルの波を巻き起こすよう、祈っていただきたい。

<<前回へ

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。