
両足にそれぞれ6本の指を持って生まれた6歳の少年が、キリスト教医療慈善団体「マーシー・シップス」の無償医療支援を受け、自由に走り回り、友達とサッカーを楽しめるようになった。
アブバカール君は「多指症」と呼ばれる先天性疾患を持って生まれた。手足の指が正常より多い状態で生まれてくるこの疾患は、形成外科手術によって比較的容易に矯正できることが多い。しかし、不幸なことに、アブバカール君が住む西アフリカの国、シエラレオネには、国内に形成外科医が2人しかいない。
アフリカの多くの国々では、比較的単純な医療であっても、それを必要とする人々に提供されないことが多い。たとえ医療が存在する場所であっても、必要とする人々にとって高額過ぎて手が届かないことがほとんどだ。マーシー・シップスによると、シエラレオネの人口の9割が手術費用を支払うことができないという。
アブバカール君は両足に6本の指があったため、スポーツをすることは困難で、靴を履くこともできなかった。
亡くなった母親の代わりに、アブバカール君を育ててきた祖母のアダマさんは次のように語った。
「走ろうとすると足同士がぶつかって転んでしまうのです。本人としては、学校の体育の授業に参加したがっていましたが、走り出した瞬間に足がもつれて転んでしまうのです」
そんな中、隣人の女性からマーシー・シップスの病院船がシエラレオネに到着したという話を、おばが聞いたのだ。マーシー・シップスは、医療を必要とする人々に無償で医療を提供するため、病院船を世界各地に派遣している。
その隣人のビンタさんはかつて、自身の8歳の娘がマーシー・シップスの支援により、整形外科手術を受けたことがあった。
アブバカール君は約90分間の手術を受け、その後2週間のリハビリテーションを受けた。
南アフリカ出身の理学療法士で、ボランティアとしてマーシー・シップスに関わるルイーズ・マシューズさんは、次のように述べた。
「アブバカール君は手術後、本当によく頑張りました。私たちが目にしたのは、彼がダルコシューズ――多指症の手術から回復中の子どもたちが使う特殊な靴――を履いて初めての一歩を踏み出す姿でした。彼はどんどん良くなっていきました」
旅立ちの贈り物として、アブバカール君には人生初の靴が贈られた。
マーシー・シップスは、1978年に設立されたキリスト教精神に基づく医療慈善団体。米テキサス州に本部を置き、世界最大級の民間病院船「アフリカ・マーシー」と「グローバル・マーシー」の2隻を運航している。船内の手術室や病棟には、世界各国から集まった外科医や看護師などのボランティアが乗り込み、医療を受けられない人々に無償で手術や治療を提供している。これまでに56カ国を訪れ、280万人以上に医療支援を提供してきた。