
一帯一路構想の莫大(ばくだい)なインフラ投資に伴い、アフリカへ渡った何十万人もの中国人労働者たち。彼らが深い孤独の中で現地の教会に温かく迎え入れられ、次々とイエス・キリストに出会うという神の救いの計画が、そこにはあった。(第1回から読む)
アフリカの教会で温かく迎え入れられ、生けるイエス・キリストに出会った中国人労働者たちは、その赴任期間を終えて祖国へと帰っていった。ところが、彼らがアフリカで受け取った福音は、今度は中国本土へと向かう力強い「福音の逆流」となって押し寄せているのだ。
彼らが帰還する現在の中国は、宗教的には極めて過酷な冬の時代にあると言っても過言でない。習近平政権の誕生以降、中国では毛沢東の文化大革命以来とも言われるほどの苛烈な宗教弾圧が実施されている。
政府公認の教会であっても十字架の撤去や説教の検閲が強制され、非公認の家の教会(地下教会)に対しては、建物の爆破、信徒の集団逮捕、AI技術やビッグデータを駆使した顔認証システムや社会スコア制度の実施、かの国における技術の進歩は、徹底した監視システムを強烈に推し進めている。
中国共産党(CCP)は、いかなるイデオロギーの広がりも国家への絶対的な脅威と見なし、特に信者が1億人を超えるキリスト教の爆発的な成長を力でねじ伏せようと躍起になっているのだ。
そのような鉄壁の監視国家に対して、アフリカで燃やされた「新しい信仰の火」は、決して消されることなく本国に持ち込まれている。沿岸部の福建省などでは今、アフリカから帰国した労働者たちの家々に密かに十字架が飾られている光景が見られるようになった。
さらに、彼らが密室で開く秘密の礼拝では、南アフリカ訛りの英語による賛美や、アフリカンリズムの熱っぽい賛美が歌われ、従来の地下教会とは様相の違う、活気に満ちた新しい群れが生まれつつあるというのだ。
人間の作ったいかなる検閲システムも、彼らの心に宿った聖霊の火を、消すことも奪うこともできなかったのである。
さらに驚くべきは、この「逆流」が中国人帰国者だけにとどまらないという事実だ。経済的なつながりの強化に伴い、アフリカから中国へと移住する人々も急増している。
その中には、極めて熱心で伝道に情熱を燃やすペンテコステ派のアフリカ人クリスチャンたちが数多く含まれている。彼らは、宗教活動を厳しく制限する中国の法律や公安の目を恐れることなく、大胆に、そして喜びをもってキリストの福音を周囲の中国人に語り伝えているという。
かつては西洋の宣教師たちから福音を受け取り、教え導かれる立場であったアフリカの教会が、今では世界最大の人口を有する最先端の監視国家に対し、生きた福音を輸出する強力な一角となったのである。このアフリカと中国を行き来する人々のうねりは、共産党の徹底した宗教統制の壁に無数の穴を開け始めている。
この防ぎ切れない霊的な地殻変動に対し、中国政府はどのような選択を迫られているのだろうか。そこには、宣教の歴史を変えるかもしれない「奇妙な妥協」の可能性が潜んでいる。(続く)
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