
国連が6月20日と定める「世界難民の日」に合わせ、キリスト教国際NGO「ワールド・ビジョン」は、世界食糧計画(WFP)と実施した共同調査の報告書『飢餓の影に』(英語)を発表した。特に飢餓が深刻な8カ国で、難民や国内避難民、受け入れ地域の家庭3494世帯を対象に調べた。
調査を行ったのは、バングラデシュ、ブルンジ、チャド、コロンビア、コンゴ民主共和国(DRC)、ミャンマー、南スーダン、ウガンダの8カ国。対象世帯の56%が食料不安を経験し、22%が児童労働、8%が児童婚を報告した。また、子どもの21%は不規則にしか通学できていなかった。
ワールド・ビジョンによると、2025年後半の人道支援資金は、それ以前の年と比べ40%も減少しており、世界の人道支援ニーズの72%以上が満たされていない。また、WFPによると、68カ国で約3億1800万人が急性の食料不安に直面している。難民世帯は他の世帯に比べ食料不安に陥る可能性が1・7倍高いとされる。
報告書は、人道支援や食料支援の縮小により、児童労働や学校中退、児童婚など、子どもの権利が侵害されるリスクが高まっている実態を示す。
一方、食料や水、教育などの基本的なニーズを尊厳を持って満たす「自立(Self-Reliance)」の度合いが高い世帯ほど、子どもがリスクにさらされる可能性が低いことも判明した。自立度が高まると、就労のための中退が38%、児童婚が33%、家族離散が31%減少した。
ワールド・ビジョンで人道支援政策などを担当するアマンダ・ライブス氏は、「緊急支援とともに自立を支える長期的な取り組みが求められています」と訴える。
「この危機の規模に見合った、十分な資金を伴う断固たる行動が求められています。子どもたちとその家族が、ただ生き延びるだけでなく、安定した生活と将来への希望を取り戻せるよう、各国政府や支援機関は緊急かつ柔軟な支援を行わなければなりません」
日本事務所であるワールド・ビジョン・ジャパンのスタッフは、現場からの報告も寄せている。
約30万人が暮らし、その多くが10年以上にわたり避難生活を続けるケニア北西部のカクマ難民キャンプを6月に訪れた平井さつきさんは、隔月で受け取る支援の食料がすぐに尽き、近所の人の助けがなければ生き延びられないと語る女性に出会ったという。一方で、「自立してキャンプを出たい。職業訓練の機会がほしい」と力強く語る男性とも出会い、緊急の支援と自立の促進という「両輪」を回し続けることが、難民が尊厳を持って生きられる未来につながると改めて確信したと述べた。
ブルンジで学校給食事業を視察した野本理恵さんは、WFPとの協働で学校給食を地域で生産・継続する仕組みづくりを進めていることを報告した。DRCからの難民流入が続く同国では、地元の農家が生産性向上の研修を受けて育てた食材が給食となり、農家の収入にもつながる持続可能な仕組みが生まれているという。対象校の93%に当たる462校が、地元産の食料で給食を作るようになり、食料支援からの「卒業」も始まっているとした。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が11日に発表した最新の報告書(英語)によると、紛争や迫害などで故郷を追われた人は、2025年末時点で世界で1億1780万人に上る。このうち、国境を越えて逃れた難民は4160万人で、出身国内にとどまる国内避難民が6870万人とされる。
強制的に避難させられた人の数はこの10年で初めて減少したものの、依然として高い水準にあり、ウクライナ戦争の長期化やスーダン、DRCでの武力衝突、ミャンマーやシリアの情勢不安などが背景にあるとされる。