
世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレイ総幹事は18日、米国とイランが戦闘終結に向けて署名した覚書を歓迎する声明(英語)を発表した。ピレイ氏は、覚書を紛争の持続的な終結に向けた「重要な希望のしるしとして高く評価」する一方、覚書への署名だけで平和は確立されるものではないと指摘し、合意を誠実に実行し、中東地域全体の正義と和解につなげるよう求めた。
ピレイ氏は声明で、覚書は和平合意に向けた大枠の枠組みであるとした上で、覚書が定める停戦の下で包括的な合意がまとまることへの期待を示した。一方、こうした合意は、実際の行動、国際法下での相互の説明責任、正義、人間の尊厳の尊重へと結実して初めて意味を持つとした。
また、覚書で合意された停戦が、レバノンを含む紛争の全ての地域で守られるよう訴えた。その上で、期待される和平合意が、政治的・経済的な戦略的利益だけでなく、正義と地域の全ての人々の幸福に根差し、誠実に実行され、真の平和と安全、和解の礎となることを願うとした。
一方で、こうした合意をもって、中東全体の平和が達成されたと見なすことには慎重であるべきだとくぎを刺した。一つの紛争が解決しても、他の紛争が依然として多くの人々に苦しみをもたらしているとし、レバノンではこれまで、停戦の取り決めにもかかわらず、違反や攻撃が報告され、イスラエル軍が同国南部の一部に駐留し続けていると指摘した。
ピレイ氏は、真の平和には、国際法や人権、説明責任、そして差別のない全ての人の平等な尊厳と権利への一貫した取り組みが欠かせないと強調。一つの共同体の苦しみが、他の場所の利益や動向によって覆い隠されてはならず、一つの外交的進展が、未解決の他の紛争に取り組む緊急性を弱めることがあってはならないとした。
米国とイランの間の戦闘は、米軍とイスラエル軍が2月28日にイランを攻撃したことで始まった。最初の攻撃で、イランでは最高指導者だったアリ・ハメネイ氏や複数の政権幹部が死亡。人権団体などの集計によると、これまでに民間人を含む数千人が死亡したとされる。イランがエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を事実上封鎖したことで原油価格が高騰し、世界経済にも影響が及んだ。
覚書は、米国のドナルド・トランプ大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領が17日に電子署名し、発効した。ロイター通信などの報道によると、覚書は14項目からなり、レバノンを含む全ての戦線での即時かつ恒久的な戦闘の停止、米国によるイランに対する海上封鎖の解除、ホルムズ海峡の開放などを盛り込んでいる。
両国は、最大60日以内に最終的な合意を交渉・妥結することを確約しており、その協議は19日にも始まる。覚書にはこの他、イランの復興のために少なくとも3千億ドル(約48兆円)規模の計画を策定することや、イランが核兵器を製造・取得しないことも記されている。