2026年6月4日23時11分

シリア語の世界(51)東方教会の教理問答書⑥三位一体神の第二位格の御子① 川口一彦

コラムニスト : 川口一彦

前回に続いて、東方アッシリア教会の信仰教理問答を紹介する。シリア語聖書による学びは、東方書体で記していく。

東方教会の教理問答書『メシアの教え(メシアニック・ティーチング)』⑥

問61:三位一体神の第二位格は誰ですか。
答え:三位一体神の第二位格は御子である神です。

問62:彼はこの御名だけで知られていますか。
答え:いいえ、彼はさまざまな名前で呼ばれています。

問63:その中で重要な名前を挙げてくださいますか。
答え:はい、1)神の御子、2)人の子、3)主、4)神の言葉、5)救い主、メシア(キリスト)、6)イェシュア(イエス)、7)インマヌエル(訳すと「神が私たちと共におられる」)、8)神の独り子。

問64:なぜ彼は「神の子」と呼ばれますか。
答え:彼は世界が造られる前に父から生まれ、彼が真の神であるので「神の子」と呼ばれています。

問65:これを聖書で証明できますか。
答え:父なる神ご自身が「これはわたしの愛する子、わたしはこれを喜ぶ」と言われました(マタイ3:17、詩篇2:7)

問66:なぜイェシュアは「人の子」と呼ばれますか。
答え:イェシュアが「人の子」と呼ばれるのは、彼が人間の完全な性質を帯び、真の人間となられたからです。

問67:イェシュアが「主」と呼ぶのは正しいことですか。
答え:はい、疑うことなく正しいです。彼が父なる神と同じように全能であり、全ての被造物の王です(使徒2:34、36、マタイ22:42〜45、エペソ1:20〜22)。

問68:私たちは彼を「神の言葉」と呼び、それは何で証明できますか。
答え:人の言葉が秘められた考えを明らかにするように、神は私たちに父なる神の深い考えを明らかにしてくださいます。「いまだかつて神を見た者はいない。父のふところにおられる独り子の神が、神を明らかにされた」。神について、他にも多くのことが記されています(ヨハネ1:1、2、黙示録19:13)。

問69:神はどのようにこれをなさったのですか。
答え:神は世界の創造において、また旧約聖書においては預言者たちによって隠された方法で行い、しかしこの終わりの時には御子によって語られました(ヘブル1:1、2)。

問70:「メシア(キリスト)」という言葉の意味は何ですか。
答え:神に「油注がれた者」という意味です。

問71:なぜ彼(イェシュア)はそのように呼ばれますか。
答え:彼は聖霊により、私たちの預言者、王、大祭司として油注がれたので、そのように呼ばれます。「あなたの神は喜びの油をあなたに注がれた」(詩篇45:7、使徒10:38)と書いてあります。

問72:これがメシアについて言われていることをどうして知っていますか。
答え:私たちのメシアご自身がそのように語っているから知っています(ルカ4:18、21、22)

問73:なぜ彼は「イェシュア」と呼ばれますか。
答え:それは天使による命令だったからです(ルカ1:31、マタイ1:21)。さらに旧約の預言者ヨシュア(エシュー・バル・ヌン、訳すとヌンの子イェシュア)がイスラエルを救い、彼らにカナンを相続させたように、神は私たちをも罪から救い、神の国に入れてくださるためでした。

問74:彼は「神は私たちと共にいる」という意味で、インマヌエルと呼ばれているではないですか。
答え:はい、彼はインマヌエルと呼ばれています。

問75:なぜ彼はこの名で呼ばれていますか。
答え:それは、彼が真に私たちの同じ人間性を取られたからです(ピリピ2:6、9、イザヤ7:14、マタイ1:23)。

(続く)

■ シリア語聖書による学び:ヨハネの福音書1章18節(シリア語は東方アッシリア教会で使用される東方書体)

シリア語の世界(51)東方教会の教理問答書⑥三位一体神の第二位格の御子① 川口一彦

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※ 参考文献
『MESSIANIC TEACHINGS OF THE HOLY APOSTOLIC AND CATHOLIC CHURCH OF THE EAST』(1962年)
川口一彦著『古代シリア語の世界』(イーグレープ、2023年)

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川口一彦

川口一彦

(かわぐち・かずひこ)

愛知福音キリスト教会(日曜と火曜集会)ならびに名古屋北福音キリスト教会(水曜集会)の宣教牧師。フェイスブックで「景教の研究・川口」を開設。「漢字と聖書と福音」「仏教とキリスト教の違い」などを主題に出張講演も行う。書家でもあり、聖書の言葉を筆文字で書いての宣教に使命がある。大学や県立病院、各地の書道教室で書を教えている。基督教教育学博士。東海聖句書道会会員、書道団体以文会監事。古代シリア語研究者で日本景教研究会代表。特に、唐代中国に伝わった東方景教を紹介している。著書に『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』など。