2026年6月2日22時33分

ワールドミッションレポート(6月2日):ケニア 絶望の夜に響き渡る希望の電波

執筆者 : 石野博

ワールドミッションレポート(6月2日):ケニア 絶望の夜に響き渡る希望の電波
ケニアの農村(写真:Masai29)

今年、アフリカ東部のケニア各地が記録的な豪雨による凄惨な洪水被害に見舞われた。今年は雨季が例年より早く訪れ、政府やインフラの備えが追いつかないまま、鉄砲水が村々をのみ込んだ。

ケア・インターナショナルの報告によれば、7万人以上が避難を余儀なくされた。100人以上の尊い命が失われ、数千エーカーの農地が破壊された。多くの人々が家屋や家畜、大切に育ててきた農作物を一瞬にして失ってしまった。主要な道路や橋といった生活インフラは濁流によって完全に寸断され、数え切れないほどの人々が孤立状態に陥った。

しかし、物理的な道が全て閉ざされ、救援物資のトラックさえも近づくことができないこの絶望的な暗闇の中で、決して遮断されることなく被災者の心に直接届き続けているものがあった。それは「電波」である。

ケニア全土で活動するキリスト教メディア機関「トランス・ワールド・ラジオ(TWR)ケニア」およびその系列である「SIFA FM」のラジオ局は、この未曾有の災害のただ中で、被災者に向けた希望の放送を流し続けたのだ。

TWRケニアの総主事であるンジョキ・チェゲ氏は「この悲惨な状況下で、もし私たちが希望を語らなければ、人々は完全に諦めてしまうでしょう。私たちは、彼らに希望を語りかけるという重い責任を感じています」と語った。

彼らは、通常の聖書教育番組に加え、洪水の安全対策や気候変動への意識啓発といった実用的な情報も放送した。しかし、彼らの最も重要な任務は、絶望のどん底にある人々に「神を信頼し、自分たちにできることを行いつつ、全てを神に委ねる」という聖書的な教訓と希望を届けることだ。

停電の続く被災地であっても、乾電池や手回し式発電の小さなラジオ一つあれば、ラジオ越しに届くメッセージで力強い祈りと励まし、希望の賛美歌を受け取ることができた。泥水に囲まれ、不安で眠れない夜を過ごす人々に、どれほど大きな勇気を与えたかしれない。

さらに、TWRケニアのチームメンバーの多くは自らも、政府が「困難な地域」と指定する過酷な環境に住みながら、励ましを送信し続けた。当時、彼らはメディアを通じた霊的な支援だけでなく、通常は行っていない食糧の直接配給にも踏み切った。

「人々は基本的な食糧や日用品すら欠いていたからです」とチェゲ氏は言う。これは、いかなる自然の猛威も神の愛のメッセージと具体的な行動を押し流すことはできないという、災害時における包括的なメディア宣教の神髄を示す力強い証しである。ケニアの人々は、財産や愛する者を失ったが、決して絶望に支配されなかった。彼らは神の恵みによって立ち直り、力強く前進したのだった。

あなたが水の中を過ぎるときも、わたしは、あなたとともにいる。川を渡るときも、あなたは押し流されず、火の中を歩いても、あなたは焼かれず、炎はあなたに燃えつかない。(イザヤ43:2)

主の御言葉はいつも力強い。特に困難の中にいる人々には、なおそうである。

未曾有の洪水被害に苦しむケニアのために祈ろう。家や家族を失い、インフラの破壊によって今も苦しむ被災者に必要な物資が届けられ、安全と健康が完全に守られるように。突如の災害によって日常が破壊された人々に寄り添い、希望のともしびを燃やし続けているTWRケニアとSIFA FMのスタッフたちに、主の知恵と特別な恵みが与えられるように。

そして、ラジオから流れる賛美と御言葉が、絶望のどん底にある人々の魂を力強く引き上げ、キリストの愛という決して揺るがない岩の上に彼らの人生が再建されるように祈っていただきたい。

■ ケニアの宗教人口
プロテスタント 56・8%
カトリック 21・5%
英国教会 8・9%
正教 0・8%
土着宗教 7・2%
イスラム 8・3%
ヒンズー 0・4%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。